臓器提供数がなぜ地方都市岡山で多いのか?「全力で救命し、全力で看取る」岡山県の取り組み

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抄録

<p>当院は臓器提供を希望されながら医学的理由で断念した2例を除き、6月中旬の時点で26例の脳死下臓器提供を行ってきた。1996年以降、岡山県の人口100万人あたりの提供数は20.3人であり、本邦で最も多い。当県で提供が多いのは、チームでの医療を実践し、全力で看取る文化が根付いているからであり、欧米の真似事ではない日本流のドナーアクションを行っているからである。全力の治療を行ったうえで、主治医グループを中心とし、患者の推定意思を汲み取るための多職種による家族ケアを行っている。さらに、県内でのドナー候補者が出た場合には、必要があれば当院から医師や検査技師を派遣し、助言を行っている。最近になり、小児における虐待などより現実に即した解釈がなされるようになったが、病態的には脳死であるにも関わらず、判定が出来ないときの補助検査の可能性(眼球摘出後、頚髄損傷など)、家族関係がより複雑な社会における血縁者のみによる代理意思の決定、外国人ドナー候補者の対応、など今後検討の余地がある。必要であれば警察、法医学教室との合同カンファレンスを行い、司法解剖の適応などにつき意見交換を行い相互理解に努めている。さらに、脊髄自動反射と考えられる動きが顕著である場合に補助検査として行う脳血管造影や、無呼吸テストを安全に行うための人工呼吸器を装着したまま呼気終末陽圧の付与といった当科の工夫についても言及したい。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s112_2-s112_2, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390581148791683456
  • DOI
    10.11386/jst.58.supplement_s112_2
  • ISSN
    21880034
    05787947
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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