当施設での腸管機能不全患者に対する多面的アプローチ

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抄録

<p>【緒言】小腸移植は腸管機能不全(IF)に対する唯一の根治術であるが、その長期成績は発展途上である。昨今、IF患者の治療戦略において多職種の腸管リハビリテーション(IR)の重要性が示されてきた。</p><p>【方法】当施設のIF患者32症例を提示し、IRの有用性および小腸移植の適応について考察する。</p><p>【結果】背景はヒルシュスプルング病類縁疾患(H類縁)18例、短腸症候群(SBS)12例、ほか2例で、全例でNSTチームなど多職種介入によるIRを行い、小腸移植は8例に行われた。非小腸移植例の24例は0歳から63歳、13例で外科的介入、8例でGLP-2製剤の導入を行った。GLP-2導入症例は全例で排便量・ストマ排液量が減少し、長期例4例は輸液量の減量(26%~100%)を達成した。一方小腸移植例は、移植時10歳から31歳、6例がH類縁、2例がSBSを原疾患とし、いずれも中心静脈アクセス喪失および著しく損なわれたQOLを適応とした。グラフト生着率は1年、5年それぞれ100%、75%で死亡例はない。小腸移植後は、ドナー由来のcfDNAを用いた新たなバイオマーカーでのモニタリングや移植腸管上皮の免疫プロファイリングを行っている。</p><p>【結論】近年、IRプログラムの普及によりIF患者の生存予後は改善しつつある。小腸移植の予後改善に努めるとともに、その適応について、代替療法の継続と移植それぞれの功罪を提供側が多職種を交えて慎重に検討することが肝要である。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s164_1-s164_1, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390581148791751936
  • DOI
    10.11386/jst.58.supplement_s164_1
  • ISSN
    21880034
    05787947
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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