肺移植レシピエントにおける新型コロナウイルス感染症の検討

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<p>【背景・目的】肺移植レシピエントにおいて、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症は重篤化率や死亡率が高いことが知られているが、本邦での詳細な実態は不明である。当科で施行した肺移植レシピエントにおけるSARS-CoV-2感染の実態を報告する。</p><p>【対象・方法】2022年12月末までに当科で肺移植を施行し、当院外来通院中の230名を対象に、SARS-CoV-2感染の有無、重症度、治療内容、予後などを後方視的に検討した。</p><p>【結果】これまで51例(22.2%)にSARS-CoV-2感染を認めた。そのうち、同居家族も感染を認めた症例が34例(66.7%)、認めなかった症例が17例(33.3%)あった。一方、同居家族に感染を認めたが本人に感染を認めなかった症例が8例あり、その多くは自宅内あるいはホテル隔離を行なっていた。感染した51例のうち、入院加療を要した症例が29例、うち5例が重症化・ICU管理(2例は人工呼吸器管理)を要し、4例が救命されたが1例死亡した。その5例のワクチン接種歴は、未接種2例、1回接種1例、2回以上接種2例だった。</p><p>【結論】強力な免疫抑制を必要とする肺移植患者におけるSARS-CoV-2感染率は、健常人を含む本邦全体の累積陽性率と同等であった。移植学会からの報告による固形臓器移植患者における死亡率2.6%と比べて、死亡率もほぼ同等であった。肺移植患者におけるワクチン接種による重症化予防については更なる検討を要する。</p>

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