肺移植術後レシピエントに対する退院後の生活指導について

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抄録

<p>【目的】2022年10月当院1例目の脳死肺移植を実施した。他臓器に比し、肺移植後は強力な免疫抑制を要するため感染リスクが大きい。肺移植後の生活指導では、特に免疫抑制と感染予防に注意が必要な他、個々のレシピエントの状況に即した調整が求められる。当院初回肺移植例の退院後指導内容を検討する。【方法】レシピエントの病状・生活状況を考慮し以下の内容を調整し指導した。1)食事 2)野外活動習慣 3)日焼け対策 4)自己管理表での身体情報と治療内容の可視化と共有 5)社会復帰の時期。【結果】1)同居家族のCOVID-19感染による別居・外食のため体重増加・胸水貯留を来したが、食事内容を見直し増悪を防いだ 2)移植前から非定型抗酸菌感染があった。土壌に触れる野外活動を一時的に禁止した。 3)アスペルギルス感染に対しボリコナゾール内服を要したため日焼け対策を指導し予防した 4)患者自らが提案・作成したformatの自己管理表を電子データとして共有し、定期的に身体情報と治療内容を相互に把握した 5)社会復帰への意欲があり移植後3ヶ月退院直後に在宅勤務、6ヶ月で出勤可とした。【考察】肺移植術後は、多数の内服薬とその副作用の厳密な管理や感染予防行動など、移植前とは大きく異なる様々な生活上の配慮を要する。一方、種々の制限の内容や期間については、個々のレシピエントの生活状況・就労意欲・嗜好に即した調整を要する。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s327_1-s327_1, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

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