新型コロナウイルス感染症後外来における上咽頭擦過療法の治療介入

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抄録

<p>新型コロナウイルス感染症は2019年12月に報告され,全世界に猛威を振るったが,ワクチンを含めた予防や感染対策,治療法の解明により,本邦では5類感染症へ移行され通常診療での対応が可能となった。今後も感染者数の増減を繰り返す事は想定されリスクを伴う状況に変化はないが,同時に問題となるのが,罹患後のコロナ後遺症である。</p><p>後遺症の発症要因は上咽頭との関連性が指摘されており,炎症が上咽頭に継続することで慢性上咽頭炎が併発する可能性がある為,その治療法である上咽頭擦過療法(EAT)の有効性が報告されている。以上から当科ではEATを積極的に導入し,より明視下に行うため,鼻咽腔内視鏡を用いた内視鏡下上咽頭擦過療法にて,的確な処置と患者との画像共有を心がけて実施している。自覚症状アンケートを用いた当科でのEAT治療成績は,EAT施行前後で全てのアンケート項目で有意に自覚症状の改善を認め,改善率では1割以上の自覚症状が改善した症例は82%,7割以上改善した症例は28% 存在し,完治した症例も6% 認められた。また,EAT導入早期より症状は改善し,継続施行にてさらに改善する傾向が得られた。以上からコロナ後遺症に対するEATはある一定の治療効果を示す可能性が示唆されたが,未だエビデンスレベルの低い治療法で,完治症例が少ない事も実状である為,今後より効果的な新たな治療法が解明されることを期待したい。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390581148792891392
  • DOI
    10.14963/stmari.51.s185
  • ISSN
    21890285
    03872289
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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