救命救急センターにおけるCOVID-19対応

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抄録

<p>当院救命救急センターのCOVID-19対応を振り返る。2020年2月に横浜港へ停泊したクルーズ船内でのパンデミックに対するDMAT出動要請と同時に,院内には災害対策本部が設置され,病院全体としての対応が開始された。情報共有システムJoin®を用いた連絡手段を確立し,職種と診療科を横断的につなぐ迅速なガバナンスを実現した。ポータブル空調機による陰圧室とゾーニング,クラウドカメラ・光学カメラによる遠隔診療,多人数による同時会話システムBONX®,病院救命士と迅速調整員によるタスクシフト等,現在に続く救命救急センターの革新的な取り組みが実装された。特異的な症状に乏しく,PCR検査にも時間を要したため,疑似症対応に難渋したが,当院に特徴的な対応として,胸部CT所見を軸とした診断と,陽性確定症例,疑似症,非感染症例のいずれにも対応可能な,ベッド毎のカーテン隔離と換気設備により,ひっ迫する救急医療の中でも,フレキシブルに病床比率を変化させ,救急車の応需を継続することができた。まずは当院で受入れ,診断と重症度判定,さらにはACPの確認の後に,地域の医療機関へ再配分する,地域中核病院としての活動を維持することができた。同時に,神奈川モデルにおける高度医療機関として,人工呼吸器管理やECMO導入を必要とする最重症例を受入れ,大学病院・救命救急センターとしての役割を果たした。2023年5月8日の5類感染症への移行を経て,「Withコロナ時代」となったが,COVID-19は救急医療が包含する多くの問題点を表面化させた。本稿により課題が風化しなければ幸いである。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390581148792900608
  • DOI
    10.14963/stmari.51.s43
  • ISSN
    21890285
    03872289
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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