食・栄養関連業務に従事する者における「日本人の食事摂取基準」の使用実態:勤務施設種別比較

  • 杉本 南
    東邦大学医学部社会医学講座衛生学分野 東京大学未来ビジョン研究センター
  • 朝倉 敬子
    東邦大学医学部社会医学講座予防医療学分野
  • 片桐 諒子
    医薬基盤・健康・栄養研究所国立健康・栄養研究所
  • 佐々木 敏
    東京大学大学院医学系研究科社会予防疫学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Actual usage of Dietary Reference Intakes for Japanese among individuals engaged in work related to food and nutrition: Comparison between workplaces

抄録

<p>目的 本研究は,エネルギー・栄養素摂取量に関する包括的なガイドライン「日本人の食事摂取基準」(以下,食事摂取基準)の使用実態を明らかにし,さらに使用実態の勤務施設種による違いを検討することを目的とした。</p><p>方法 2023年7月に,食や栄養に関わる業務に従事する者を対象として,Web質問票調査を実施し,1,030人が回答した。日常業務での食事摂取基準の使用状況のほか,食事摂取基準で主に読む部分や使用にあたって困る点,改定版に関する主な情報源,改定での関心事項などを尋ねた。回答状況を,対象者が勤めている施設種別(医療機関,学校・福祉施設,行政,栄養士養成施設,企業,地域・その他)で比較した。</p><p>結果 対象者の58%が,食事摂取基準を日常業務でとてもよく使う,またはよく使うと答えていた。これらの対象者において,よく使う業務は,医療機関や学校・福祉施設,企業では勤務施設の栄養素等基準値の作成,献立作成・給食管理と栄養管理・指導,行政では栄養管理・指導や講習/教材の作成,栄養士養成施設では講習/教材の作成,地域・その他では栄養管理・指導や講習/教材の作成が主であった。主に使う部分は,全体として,各論のエネルギー(66%),たんぱく質・脂質・炭水化物・エネルギー産生栄養素バランス(72%)を選んだ者が多かった。対象者全体において,食事摂取基準の使用にあたって困る点は,主に文字が多い・文章が長いために読むのに時間がかかることであった(全体の54%,施設種間の有意差なし)。食事摂取基準の改定版に関する主な情報源は,主に日本栄養士会のセミナーや研修会(全体の70%)であったが,行政と栄養士養成施設では厚生労働省による研修会や公開情報と答えた者も多かった。改定版で主に気になる変更内容は,全体の策定方針(77%)や,どの指標値に変化があったか(74%)は全体として関心が高い一方,個別の指標値の策定方法への関心は,他の施設種より栄養士養成施設で高い傾向があった。</p><p>結論 本研究は,日本人の食事摂取基準が,食や栄養に関わる業務に従事する者により,日常業務においてよく使われていることを明らかにした。一方で,その使われ方や関心のある点,改定に関する情報収集の方法は施設種によって異なることが明らかになった。今後は,施設種での業務に即した記述の工夫や参考資料の作成,情報伝達方法が必要と考えられる。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390581148793001472
  • DOI
    10.11236/jph.23-100
  • ISSN
    21878986
    05461766
  • PubMed
    38556360
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • PubMed
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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