化合物数と多様性をめぐる医薬品ライブラリーの温故知新

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  • How to expand the scale and diversity of chemical library
  • カゴウ モノカズ ト タヨウセイ オ メグル イヤクヒン ライブラリー ノ オンコ チシン

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抄録

疾患の治療薬を見つける創薬は現代における必須の研究分野となっている。創薬に必要となる医薬品ライブラリーは、天然物から学んだことを取り込みながらアップグレードしてきた。本稿ではその歴史を俯瞰し、今後の展開について議論したい。まずライブラリー構築は独特の化合物を産生する微生物を探索し集めることから始まった。結果、ペニシリンやスタチン、ラパマイシンなどが発見された。その後化合物そのものをライブラリーとして収集する今の流れが作られた。天然物の全合成の試みから様々な有機合成法が開発され、コンビナトリアル・ケミストリー(以下コンビケム)の誕生により合成化合物ライブラリーの爆発的増大につながった。その成果は人類の共有財産としてPubchem、ChEMBL、ZINC、ChemSpiderとして公開されている。天然物探索の歴史に視点を戻すと、産業革命以降は社会の変化に連動しているのが特徴といえる。ビタミンの発見は食生活の変化に基づくのが好例である。天然化合物は複雑かつ多様だが、ワシントン条約等により材料の調達が出来ないなど社会的制約が生じている。この問題点を解決しうる方法として天然物の人工産生系について紹介する。さらに人工知能(AI)を活用し、化合物を「進化」させる創薬の可能性を議論する。

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