ジスチグミン5 mgの長期投与で発症した致死的コリン作動性クリーゼの1例

DOI
  • 森 仁志
    自治医科大学附属さいたま医療センター救急科 八戸市立市民病院救命救急センター
  • 吉村 有矢
    八戸市立市民病院救命救急センター
  • 十倉 知久
    八戸市立市民病院救命救急センター
  • 野田頭 達也
    八戸市立市民病院救命救急センター
  • 今 明秀
    八戸市立市民病院救命救急センター

書誌事項

タイトル別名
  • A fatal case of cholinergic crisis induced by chronic low dose distigmine bromide intoxication

抄録

<p>86歳,女性。重度の意識障害,低血圧,徐脈のため当院にドクターヘリ搬送された。脳梗塞後の神経因性膀胱に対して1年以上前から臭化ジスチグミン5 mgを内服していた。Japan Coma Scale 300の意識障害と脈拍24回/minの徐脈,血圧70/40 mmHgの低血圧を認めた。気管挿管,人工呼吸管理,一時的ペースメーカー,高用量のカテコラミン投与を行ったが状態が改善しなかった。発汗,縮瞳,口腔内分泌物の低下などの身体所見と内服歴,コリンエステラーゼ(ChE)低値を総合してコリン作動性クリーゼを疑い,アトロピンの投与を開始したところ血圧は上昇した。その後も代謝性アシドーシスが改善せず,CTで小腸壊死を認めた。治療困難であり死亡退院となった。コリン作動性クリーゼは高齢者においては下限投与量であっても発症し重症化することがある。症状が非特異的であることや投与開始から発症までの期間が長い場合があるため診断に難渋する例がある。ChE阻害薬内服中の患者では常に本症を念頭に置き,トキシドロームを意識した診療が必要である。</p>

収録刊行物

  • 中毒研究

    中毒研究 37 (1), 29-35, 2024-03-10

    一般社団法人 日本中毒学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390581148793329664
  • DOI
    10.57388/jjct.37.1_29
  • ISSN
    27582140
    09143777
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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