両手動作と体幹強化プログラムを通して,非利き手の不器用さの改善を目指した一症例

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抄録

<p>【はじめに、目的】</p> <p> 今回,放課後等デイサービスを利用している子どもの保護者から非利き手の不器用さに関しての相談を受ける機会があった.そこで,対象児の日常生活で非利き手の不器用さを感じる場面を明らかにし,体幹を使う活動と両手を使用する活動を取り入れることで,非利き手の不器用さの改善を図ることを目的とする研究を行ったため報告する. </p> <p>【方法】</p> <p> 対象は週1回放課後等デイサービスを利用する,発達障害の診 断を持つ小学3年生の男児1名とそのご家族.方法は①介入前評価としてビーズ通しと片脚立位時間の測定を実施.介入プログラムとして週1回の個別療育の時間にトランポリンキャッチボールと両手連続円運動を実施.トランポリンキャッチボールは対象児に1分間トランポリンを跳んでもらいながら,キャッチボールを行った.両手連続円運動は左右の手に鉛筆を持ち,同時に円を外回り・内回りそれぞれ1分間書き続けてもらった.介入期間終了後に再度ビーズ通しと片脚立位時間の測定を実施. ②ご家族には対象児の利き手を確認するため,大久保らの日本語版FLANDERS利き手テストを記入していただいた.また,日常生活においてどの動作で非利き手が気になるかについて質問用紙を用いたアンケートに回答いただき,介入期間後も同様のアンケートを記入していただいた. </p> <p>【結果】</p> <p> 介入前評価では片脚立位保持可能時間が左右ともに15秒未満,右片脚立位時間は10秒未満であった.ビーズ通しは左手でビ ーズを持って紐に通す際に,右手でビーズを持つ時より20秒以上時間がかかり,途中左右の手の役割が入れ替わる様子が見られた.介入前にご家族に記入いただいたアンケートより,日常生活の中で食事の場面,特に左右で異なる動きが必要な時に非利き手 の不器用さが気になるということがわかった.計4回の介入では,両手連続円運動では1回目と4回目を比較して左右ともに円を大 きく書くようになり,左手は1回目では円の形を書き続けることが難しかったものの,4回目では右手の動きにつられることも減り,円の形を書き続けることができるようになった.介入後評価では片脚立位が左右ともに15秒以上保持可能であった.ビーズ通しは左手でビーズを持った際の時間が20秒近く速くなった.しかし,介入後にご家族に記入いただいたアンケートより,非利き手の不器用さの改善を感じていただくことはできなかった. </p> <p>【考察】</p> <p> 介入前評価の片脚立位時間が短いことからバランス能力の低さがあり,ビーズ通しの結果から非利き手の不器用さがうかがえた.両手連続円運動より両手間の協調運動が向上,トランポリンを用いた介入により体幹機能も向上したことで,非利き手の巧緻性の向上につながったと考えられる.今後は生活場面での実用性につなげるために左右交互の両手動作や左右の役割が異なる両手動作に関するアプローチとより日常生活場面を想定した介入も行っていきたい. </p> <p>【倫理的配慮】</p> <p>本研究に対して,対象児とそのご家族に口頭と紙面で説明を行い,同意を得た.また,株式会社リニエR倫理委員会の承認を得た. (承認番号:2036)</p>

収録刊行物

  • 小児理学療法学

    小児理学療法学 2 (Supplement_1), 114-114, 2024-03-31

    一般社団法人 日本小児理学療法学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390581148793903616
  • DOI
    10.60187/jjppt.2.supplement_1_114
  • ISSN
    27586456
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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