先天性心疾患患児の術後早期離床・リハビリテーションにおける中止・中断に影響する要因

DOI
  • 金田 直樹
    北海道立子ども総合医療・療育センター リハビリテーション課
  • 西部 寿人
    北海道立子ども総合医療・療育センター リハビリテーション課
  • 和泉 裕斗
    北海道立子ども総合医療・療育センター リハビリテーション課
  • 酒井 渉
    北海道立子ども総合医療・療育センター 小児集中治療科
  • 市坂 有基
    北海道立子ども総合医療・療育センター 小児集中治療科
  • 名和 智裕
    北海道立子ども総合医療・療育センター 小児集中治療科 北海道立子ども総合医療・療育センター 小児循環器内科

抄録

<p>【はじめに】</p> <p>当センターでは、2018年から先天性心疾患(CHD)患者に対し多職種により手術後の早期離床・リハビリテーション(以下術後早期リハ)を実施している。介入前の開始基準の他、実施中の中止・中断基準を用いて安全性に対して配慮する事が重要である。しかし、CHD患者の術後早期リハ介入時の中止・中断の状況報告はない。 </p> <p>【目的】</p> <p>当センターにおける術後早期リハ介入時の中止・中断に影響する要因を調査する。 </p> <p>【対象】</p> <p>2018年5月~2022年12月、手術及び術後早期リハを実施したCHD患児とした。PICU入室後48時間以降の介入患児や、診療録上の記録不備は除外した。 </p> <p>【方法】</p> <p>当センター術後早期リハの件数、中止・中断に至った件数、発生頻度、中止・中断に至った患児の患者背景、介入時の離床内容、中止・中断の理由を診療録より後方視的に調査した。介入時の離床内容は、当センター早期離床・リハビリテーションにおけるプロトコル表のClass分類を用いた。 </p> <p>【結果】</p> <p>429人が対象となり、術後早期リハ実施件数は1201件であった。中止・中断に至った件数は37件、発生率は3%であった。年齢 (月):3[1-0.5]、性別 (男/%):23/62、術前肺体 血流比:0.8[0.7-0.9]、術前心胸郭比 (%):51[47-56]であった。手術時間 (分):266[224-326]、人工心肺使用時間 (分):139 [ 108-192]、心停止時間 (分):62[45-87]、Risk Adjustment in Congenital Heart Surgery System (RACHS)-1-categoryでは、 category-3:3人、category-4:8人、category-5:8人、 Category-6:3人であった。介入時の術後日数(日):3[1.5-11.5]、介入時の呼吸管理状況は挿管管理者 (%):84%、介入時の鎮静状況はState Behavioral Scale:-3が50%を占めていた。 離床内容はClassA(体交不可)12件、ClassB (側臥位体交)18件、 ClassC (ギャッジアップ)5件、ClassD(バギー座位)2件であっ た。中止 ・中断に至った理由は、PHクライシス様のバイタル変化/中心静脈圧や心拍数の許容範囲外の変化/新規不整脈の出現など循環関連項目が49%、鎮静状況変化等の神経関連項目24%、人工呼吸器とのバッキングやファイティング増加等の呼吸関連項目 9%、その他が18%であった。 </p> <p>【考察】</p> <p>CHD手術後患児の介入時に中止・中断した患児の背景として、重症度指標別でcategory4以上の患児、ClassAからBへの体交可能期に生じている件数が多く、更に循環関連項目が半数を占めていた。術後早期リハ介入時において、特に留意を必要とする可能性がある患児の特徴を示した。今後も術後早期リハの安全性や効果を検討する為、客観的な評価と症例蓄積が必要と考える。 </p> <p>【倫理的配慮】</p> <p>早期・離床リハビリテーション介入時の同意書と共に、ヘルシンキ宣言に基づき対象者の保護には十分留意した。</p>

収録刊行物

  • 小児理学療法学

    小児理学療法学 2 (Supplement_1), 158-158, 2024-03-31

    一般社団法人 日本小児理学療法学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390581148793924224
  • DOI
    10.60187/jjppt.2.supplement_1_158
  • ISSN
    27586456
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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