当院NICUにおける理学療法実施の有無が中等度および後期早産児に与える影響

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抄録

<p>【はじめに、目的】</p> <p>近年、早産児の中でも最も割合を占める中等度早産児および後期早産児 (以下MLPT)の予後について関心が高まっており、その成熟度に差があるとの報告も増えてきている。今回当院は、2021年1月から新生児集中治療管理室 (以下NICU)に対して理学療法士が介入するにあたり実施の有無で MLPT児にどのような影響を与えるのかを検討した。 </p> <p>【方法】</p> <p>本研究は後向き観察研究である。対象は2020年7月 ~2023年6月まで当院NICUに入院された187例のうち中等度 (在胎32週以上、34週未満で出生)および後期早産 (在胎34週以上、37週未満で出生)児を対象とした。またその中から,脳疾患、染色体異常や遺伝子疾患などを含む先天性疾患のある児、 転院などで最終転帰の確認ができない児を除外した45例とした。 2020年7月~2021年12月までを理学療法未実施群 (以下未実施群)24例、2021年1月~2023年6月までを理学療法実施群 (以下実施群)21例として出生時妊娠週数、出生時体重、出生時身長、アプガースコア (以下AP;1分/5分)、退院時週数、退院時体重、在院日数を比較検討した。 尚、在院日数、出生時体重、退院時体重は対応のあるt検定、その他はMann‒Whitney U testで統計処理を行い群間比較した。 </p> <p>【結果】</p> <p>出生時妊娠週数 (未実施群 vs 実施群)33.6w±1.1day vs 34.1 w±1.2day、出生時体重1745.8±189.4g vs 1768.3± 158.1g、出生時身長41.8±1.9㎝ vs 41.9±1.6 cm、AP1分7.4 ±1.2 vs 7.2±1.8、AP5分8.8±0.8 vs 9.1±0.7、退院時週数 38.3w±1.1day vs 38.1w±0.8day、退院時体重2342.8± 240.8g vs 2298.4±225.0g、在院日数34.1±11.9日vs 29.2± 7.7日といずれの項目においても有意な差を認めなかった。 </p> <p>【考察】</p> <p>今回はMLPT児に着目して理学療法の実施、未実施が退院時の体重増加や在院日数の短縮までの結果を得ることはできなかった、しかし、脳性麻痺を発症していない早産児が粗大運動能力と微細運動能力の障害に遭遇する頻度が高く、有病率は軽度から中等度の障害で約40%、中等度の障害で約20%との報告もされ大きな問題の一つと考えられている。今後は、外来でフォローアップし理学療法実施、未実施による影響を問いたいと考えている。 </p> <p>【倫理的配慮】</p> <p>使用したデータの研究目的の利用については,株式会社girasolの同意と小田原市病院倫理委員会の承認を得ている。</p>

収録刊行物

  • 小児理学療法学

    小児理学療法学 2 (Supplement_1), 43-43, 2024-03-31

    一般社団法人 日本小児理学療法学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390581148793945856
  • DOI
    10.60187/jjppt.2.supplement_1_43
  • ISSN
    27586456
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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