パラスポーツ体験を目的とした親子入院の活動報告

DOI
  • 堤崎 宏美
    北海道立旭川こども総合療育センター リハビリテーション課
  • 齋藤 由希
    北海道立旭川こども総合療育センター リハビリテーション課
  • 鳥井 智太郎
    北海道立旭川こども総合療育センター 整形外科

抄録

<p>【はじめに】</p> <p> 当センターでは、子どもと家族が一緒に入院する、肢体不自由児を対象とした一般親子入院 (3~4週間)や神経発達症児やダウン症児等を対象と短期親子入院 (5日間)を行なっている。 今回、2020年より新規事業として「パラスポーツ親子入院」を実施した。当センターに通院している児童を対象に、パラスポーツに接する機会の少ない子どもたちや家族に対し、スポーツの経験や紹介を通じ、スポーツの楽しさを感じ、活動性を高め社会参加を促すことを目的としている。今回は本事業の活動内容とその意義について検討したので報告する。 </p> <p>【対象と内容】</p> <p> 定員5組で、小学中学年までの肢体不自由児を対象。3泊4日の日程で、運動測定 (投球・10m走)・ボッチャ・プール体験・ 10mスラローム等のスポーツを親子で体験する。他に、整形外科医による講義、集団保育なども行った。入院最終日には、家族対抗ボッチャ大会を実施し表彰式を行った。退院時に参加者にアンケートを実施した。 </p> <p>【活動報告】</p> <p> 2020年3組、2021年は4組の参加者であった。年齢は3歳~6歳。低出生体重児や脳性麻痺、運動発達遅滞、知的障害を持つ子ど もたちで、運動レベルは、GMFCSLevel Ⅱ~Ⅲ。プログラム は、個別リハを実施後、集団活動として、徒競走、スラローム、玉入れ、フロアカーリング、トランポリン、ボッチャを親子合 同で行った。運動測定結果より各種目について、個々の能力に応じた方法で行ったが、個別差が大きく、ルール理解も難しいため、スポーツ要素を取り入れたレクレーション活動が多かった。ボッチャ大会や表彰式を企画することで本人だけでな く、家族・スタッフ全員で楽しみながらスポーツに取り組めた。 </p> <p>【考察】</p> <p> 通常のリハビリに加え、スポーツ活動を通じて、競争する雰囲気や達成感を感じている様子が見られた。2年連続で参加した児童については、歩行能力・距離の向上など運動発達の経年変化を見ることができた。しかし、参加者が低年齢でルール理解が乏しく、競技としてのスポーツを行うことは難しいため、スポーツ要素を取り入れたレクレーションやシンプルなルールに変更することで、楽しく取り組むことができた。また、参加者アンケートでは、「うちの子がスポーツできると思ってなかった」「参加できてよかった」「またやりたい」と高い評価を得たことからも、ニーズの高い事業であると実感した。今後、 COPMや活動・参加に対する評価も調査していきたい。早期にスポーツに出会えることで、チャレンジする心が育ち、子どもたちや家族の健康や社会参加へのきっかけ等QOL向上につながっていくと考える。さまざまな障がいを持つ子どもたちが楽しくスポーツに取り組める環境を整えるためにも、今後もパラスポーツ親子入院を発展させていきたい。 </p> <p>【倫理的配慮】</p> <p></p> <p>【倫理と同意】</p> <p>本発表にあたり、利用児童の保護者に説明し文書による同意を得た。</p>

収録刊行物

  • 小児理学療法学

    小児理学療法学 2 (Supplement_1), 90-90, 2024-03-31

    一般社団法人 日本小児理学療法学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390581148793973632
  • DOI
    10.60187/jjppt.2.supplement_1_90
  • ISSN
    27586456
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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