スマートフォンアプリを使用した慢性疾患の重症化予防における介入実践

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抄録

<p>近年、ICTやAI、IoTなどのデジタルテクノロジーを活用した医療・ヘルスケア領域の製品・サービスのことを指す「デジタルヘルス」への注目が増している。また、スマートフォンの保有率の増加に伴い、誰でも簡単に医療・健康関連情報にアクセスすることが可能になっている。デジタルヘルスの中でも、スマートフォンやウェアラブルデバイスを活用した「モバイルヘルス」の事例が、予防から治療後まで幅広い段階で報告されている。これらのデバイスを活用するメリットは、単に生体情報をモニタリングするだけでなく、得られた情報をもとに行動変容を促すツールとして利用できることである。 株式会社PREVENTでは、これらの技術を活用して企業の健康 保険組合や自治体の国民健康保険の保健事業として重症化予防事業を実施している。対象者は生活習慣病をはじめとした慢性疾患既往者であり、かかりつけ医に承諾を受けたうえでプログラムに参加し、医師の指示に基づき健康づくり支援が提供される。具体的には、医療専門スタッフがウェアラブルデバイスを活用した運動指導、食事写真ならびに食塩摂取量測定機器を活用した食事指導などを行っている。これらの情報をもとに、是正が必要な生活習慣の優先順位を決定し、電話面談 (12回/6カ月)やチャットによる健康づくり支援を実践している。これまで、血管疾患ハイリスク者に対しても安全に指導が可能であり、一定の指導効果が得られることを報告した (Kanai M, et al. Circ Rep 2022)。 また、スマートフォンアプリを通じて、アプリの利用頻度や データの入力状況など、モバイルヘルス特有の新しい評価指標を算出することができる。そして、それらが介入効果と関連を示すかを探索的に検討し、指導への実践も試みている。さらに、 2型糖尿病を有する対象者に試験的にグルコースモニタリングを導入し、血糖値の改善に有用かについても新たに検証を始めている。本発表では、具体的な介入実践に関する話題提供だけでなく、スマートフォンアプリやウェアラブルデバイスのデータに基づいた指導へのインサイトについても報告したい。</p>

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