両立支援における時間栄養学を取り入れた管理栄養士の取り組み

DOI
  • 髙矢 央子
    独立行政法人 労働者健康安全機構 大阪ろうさい病院治療就労両立支援センター
  • 本田 優子
    独立行政法人 労働者健康安全機構 大阪ろうさい病院治療就労両立支援センター
  • 坂本 和歌子
    独立行政法人 労働者健康安全機構 大阪ろうさい病院治療就労両立支援センター
  • 井谷 美幸
    独立行政法人 労働者健康安全機構 大阪ろうさい病院治療就労両立支援センター
  • 浅田 史成
    独立行政法人 労働者健康安全機構 神戸労災病院 中央リハビリテーション部
  • 久保田 昌詞
    独立行政法人 労働者健康安全機構 大阪ろうさい病院治療就労両立支援センター

抄録

<p>管理栄養士は栄養に関する専門的な知識と技術を持ってあらゆ るライフステージの方一人ひとりに合わせた食事の提案を行う。特に病院管理栄養士は患者の病状に合わせて、病気の治療、再発・合併症予防を目指した食事提供や栄養管理を行っている。その中で、患者の食習慣や嗜好等を聞き取り、体重、生化学的データ等を見ながら食事の提案や助言を行う。さらに退院を見据えた指導では生活リズムや運動習慣、家族のサポートの有無、就労状況等、生活全体を考慮しながら指導にあたる。両立支援を考える上で、仕事も食事も生活の一部であるが故に、食事は対象者の職種や職場での立場、職場環境などの影響を受けやすい。また勤務形態の多様化により食・栄養上の新たな健康問題も出てきている。例えば、交代制勤務がある場合や時間外勤務が多い者ほど、不規則な食習慣になりやすく、食事の質にも影響することが報告されている。さらには、夕食時間が遅いことが朝食の欠食にも繋がり、肥満や糖尿病のリスクを高くするといわれている。こういった背景より、近年、時間栄養学的視点から朝食摂取の重要性や生活リズムに合わせた食事の摂り方の研究が注目されている。生物は24時間周期の概日リズムを形成しているが、ヒトの体内時計の周期は24時間よりも少し長い。そのため1日ごとに調整される必要があり、朝日を浴びて朝食 を摂取することで体内時計がリセットされることが明らかになっている。また、時計遺伝子の一つであるBMAL1 (ビーマルワン)は脂肪合成に関わるたんぱく質で、夕方から深夜にかけて上昇し、14時頃に最も低下することがわかっている。このような時間栄養学を活用して、間食をする場合の時間帯や夕食時間が遅くなる場合の工夫など体内時計をできる限り正常に保つような食事の摂り方が勧められている。食習慣を見直すことは生活全体を見直すことになり、それが疾病の改善・予防にも繋がっていく。しかし、生活習慣の改善は容易ではなく本人の意思と周囲の協力が必要であり、医療職においては多職種それぞれの特性を活かし連携することで、きめ細かいサポートができ、それがより良い支援へとつながっていくのではないだろうか。本発表では、当センターが行っている両立支援の多職種カンファレンスに管理栄養士が参画し、時間栄養学を用いて対象者へのアドバイスシートを作成した事例を紹介する。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ