産業理学療法分野における北海道中央労災病院治療就労両立支援センターの活動について

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  • 坂口 太一
    独立行政法人労働者健康安全機構 北海道中央労災病院治療就労両立支援センター 予防医療部

抄録

<p>【はじめに】</p><p> 日本では総労働者の減少や高年齢労働者の増加による労働災害増加が問題となっている。そこで独立行政法人労働者安全機構では働く人々の健康を守り、病気を治療し、職場復帰を推進するための活動や研究などの事業を展開している。北海道中央労災病院治療就労両立支援センター (以下、当センター)では治療就労両立支援事業 (以下、両立支援)と予防医療モデル事業 (以下、予防医療)を行っており、両立支援では病気の治療と就労の継続を支える取り組みの実施、予防医療では労働災害と労働者特有の疾病の予防の為の効果的な予防法・指導法の開発を目的としている。今回は予防医療において理学療法士が関わっている事業を取り上げる。 </p><p>【活動の内容】</p><p> 1) 調査研究 労働者の健康に関わるテーマに基づき、データを収集、得られた結果から予防法や指導法を開発しパンフレットなどを作成し周知を行う。過去には労働者の腰痛予防や禁煙に関するテーマで研究を行っており、現在当センターでは食生活と肥満に関する研究を行っている。 2) 専門職による相談対応 企業の従業員や保健師、衛生管理担当者を対象に生活習慣病予防や労働災害予防に関する相談を受け、アドバイス等を行う。 3)健康セミナー 企業からの依頼にて労働者の健康や労働災害予防に関しての講義を行う。1回1時間30分~2時間程度で対面やオンラインでも実施可能とし、昨年度の実績は3回であった。 4)出張健康測定 企業へ出向き体成分測定、骨密度測定などを実施、その結果から考察し資料を使いその場でフィードバックを行い、従業員個人に健康への意識付けとその職場全体における問題点と解決策の提案を行う。去年の実績として北海道内の企業で延べ1120名、2452回の測定を行った。 </p><p>【考察】</p><p> 昨年度までは従業員数の多い企業などからの依頼が多く、中小企業や地方の企業への介入が少ない現状である。この当センターの課題に対して今年度から地元の中小企業への介入のため商工会議所とのタイアップによるコラボ事業を計画しており、転倒予防のためのロコモ度テストの実施や理学療法士が得意とする動作評価と改善案の提供を行う実地訪問事業も行いたいと考えている。最後に当センターの事業推進のためには企業内で従業員の健康に関して多くの情報を持っている産業医や保健師との連携が必要と感じており、その中で理学療法士の可能性と役割を見いだして活動を行いたい。</p>

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