地域の介護予防を促進する上での歯科衛生士の役割

DOI
  • 白部 麻樹
    東京都健康長寿医療センター研究所 自立促進と精神保健研究チーム
  • 植田 拓也
    東京都健康長寿医療センター研究所 東京都介護予防・フレイル予防推進支援センター
  • 大渕 修一
    東京都健康長寿医療センター研究所 福祉と生活ケア研究チーム
  • 藤原 佳典
    東京都健康長寿医療センター研究所 東京都介護予防・フレイル予防推進支援センター

抄録

<p>平成27年より、人と人とのつながりを通じて、参加者や通いの場が継続的に拡大していくような地域づくりを推進するため、介護予防・日常生活支援総合事業が創設され、従来の介護予防から新しい総合事業への移行が行われてきた。この中で、介護予防に資する住民主体の通いの場 (以下、通いの場)の充実に関する取組が全国で展開されている。新型コロナウイルス感染症の影響により把握可能な時点の状況ではあるが、平成30年度に 106,766箇所だった通いの場が、令和3年度は123,890箇所と増加してきている。通いの場は、住民が主体的に運営することで地域での役割創出を狙ったものであり、主な活動内容は、「体操 (運動)」が55.8%と最も多く、次いで「趣味活動」、「茶話会」の順で実施されている。さらに、厚生労働省は「だれが (運営)」、「どこで (場所)」、「なにを (活動)」の3つの視点 から通いの場の活動を類型化し、通いの場の活動を多様化させることを求めている。 一方、「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」では、この通いの場を活用し、令和6年度までに全ての市区町村において「通いの場等に医療専門職が関与することにより、高齢者が自らの健康状態に関心を持ち、フレイル予防等の重要性について浸透することを図る」としている (厚生労働省「高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン」より)。地域の介護予防において通いの場は重要な地域資源であり、フレイル予防の視点から今後さらに専門職の関与が求められることになるが、専門職の関わりが増えることで、住民の主体性が低下する可能性もある。我々は、専門職は関わりが増えれば増えるほど、住民の後方支援を担う認識を強く持たなければいけないと考えている。 また、市区町村に派遣される専門職の職種別では、理学療法士 が最も多く、次いで保健師、作業療法士の順となっており、歯科衛生士の実績は少ない。口腔機能低下は低栄養とも関連して、高齢期の生活機能の予後に大きく影響を与えるため、フレイル予防に展開する上でも口腔は重要な策の一つである。地域の介護予防における他の専門職と連携した歯科衛生士の関与の在り方を報告する。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>該当なし</p>

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