介護予防の地域連携における歯科衛生士の役割  ~ 秋田県フレイル健診から見えた課題 ~

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抄録

<p>【はじめに】</p><p>高齢化率全国1位の秋田県では、生活習慣病による死亡率が高く生活習慣改善が大きな課題である。 2020年度から県内の医療関連会社がITを活用したフレイル判定・予防システムを開発し、希望する市町村が当システムを活用した健診事業 (以下、フレイル健診)を実施している。そこで、フレイル健診の事業を紹介するとともに、歯科衛生士の果たすべき役割と今後の課題について考察する。</p><p>【方法】</p><p>フレイル健診の健診項目は、地区の公民館等で実施した。生活問診 (基本チェックリスト、オーラルフレイル問診票、生活習慣等)、口腔機能 (舌口唇運動機能、舌圧、口腔衛生状態 )、体組成、Short Physical Performance Battery (以下、SPPB)等であった。歯科衛生士は、口腔機能評価および口腔健康管理に関する指導を行った。フレイル健診の一人あたりの所要時間は約2時間で、すべての測定結果はネットワークで共有され、当日に健診結果を受診者に提供し個別指導を行った。</p><p>【結果】</p><p>2022年のフレイル健診は、5~12月、秋田県内8市町村、40会場で実施した。初回健診参加者は、542名 (男性121名、女性423名)、平均年齢は76.4±4.3歳であった。フレイル該当率は3.7%、プレフレイル該当率は37.1%、口腔機能低下者は23.2%であった。</p><p>【考察】</p><p>口腔機能低下・低栄養・運動機能低下は相互に関連し ており、フレイル・サルコペニアの伸展にも影響を与える可能性がある。地域における健康寿命延伸を目的としたフレイル予防の取り組みには、口腔・運動・栄養の連携が重要である。フレイル健診には、行政の担当者のほか、在宅保健師の会の保健師・秋田県歯科衛生士会の歯科衛生士・池田薬局の管理栄養士が参画し、測定を行うとともに測定結果に基づく保健指導を行っている。健診レポートをみながらの個別指導は短時間であるが参加者の意識改革と行動変容の促進効果が期待される。現在、フレイル該当者に対するフォローアップについては、地域により内容に開きがある。今後、理学療法士等も含めた専門職が協同で複合的に関わることで、県民一人一人の意識改革と行動変容を促進し健康寿命延伸と地域による健康格差の縮小が期待されると考えられる。今後は、多職種による保健指導の介入効果についても検討していく必要がある。</p><p>【倫理的配慮】</p><p>該当なし</p>

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