八王子市総合事業における通所型短期集中予防 サービスの実施 ~ 面談による介護予防の効果 ~

DOI
  • 豊田 平介
    医療法人社団永生会 広報連携・地域支援事業部

抄録

<p>【はじめに】</p><p>超高齢社会の中で、健康寿命の延伸や自立支援・重度化防止への取り組みは各自治体にとって喫緊の課題である。八王子市は総合事業において自立支援と介護予防を積極的に進めている。今回、総合事業における通所型短期集中予防サービス (以下「通所C」)として実施した、面談中心の介護予防の効果について報告する。</p><p>【対象と方法】</p><p>対象は令和4年4月~令和5年1月までに通所Cを利用した1 14名。 通所Cの面談による介護予防は、個別対応にて対話型のサービス提供となっている。内容は、ケアプランより本人の望む暮らしの実現に向けた目標設定を行い、達成に向けた本人の取り組み支援を行っている。サービス提供期間は3か月間、週1回、 60分の面談を基本とした。評価項目は身体機能として、左右の握力、5m歩行テスト (最大および快適)、TUG、CS-30とした。また日本語版フレイル基準よりフレイル群、プレフレイル群、ロバスト群の該当率を算出し、通所C前後での比較を行った。</p><p>【結果】</p><p>身体機能評価では快適5m歩行テスト、最大5m歩行テスト、 TUG、CS-30にて有意差を認めた (いずれもp<0.01)。フレイル基準の判定では、開始時の該当率はフレイル群34.8%、プレフレイル群60.6%、ロバスト群4.5%であった。修了時の該当率はフレイル群15.1%、プレフレイル群71.2%、ロバスト群13.6%となった。</p><p>【考察】</p><p>面談による介護予防の特徴は、個別の対話から望む暮らしと生活課題の把握より、自分でできるようにするというリエイブルメントの視点が重要となる。自立支援と介護予防においてはリエイブルメントによるセルフマネージメントの構築が基本の柱となる。対話を通して主体性を引き出すことによって、再び自分でできるようになることをその人に合わせ段階的に進めていくことができる。 結果的に暮らしの不安の解消や低下した自信を取り戻すことに つながる。望む暮らしに向けた活動や参加中心の対話を通じたアプローチは結果として、身体機能の変化にもつながったと考えられる。またフレイル基準の視点では、フレイル群の該当率は減少し、ロバスト群は向上した。通所C利用者とフレイルは 状態像が重なるため、要支援者の可逆性を示した改善といえる。今回は短期的な効果を検討したが、今後は地域への参加をより高めることにより、さらなる予防の効果を検討していきたいと考える。</p><p>【倫理的配慮】</p><p>ヘルシンキ宣言に基づき、全ての対象者に個人情報保護対策、研究への同意と撤回について説明し、書面にて同意を得た。また研究実施に際しては、安全管理および個人情報の保護に努めた。</p>

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