札幌市の通いの場に参加する後期高齢者と超高齢者における心身機能の比較

DOI
  • 佐藤 佑太郎
    一般社団法人 北海道リハビリテーション専門職協会 医療法人脳神経研究センター新さっぽろ脳神経外科病院リハビリテーション科
  • 福嶋 篤
    一般社団法人 北海道リハビリテーション専門職協会 公益社団法人北海道理学療法士会 事務局
  • 樫木 雅美
    一般社団法人 北海道リハビリテーション専門職協会 北樹会病院 リハビリテーション科
  • 佐藤 佑樹
    一般社団法人 北海道リハビリテーション専門職協会 社会福祉法人協立いつくしみの会 リハビリ部
  • 松岡 寛樹
    一般社団法人 北海道リハビリテーション専門職協会 札幌西円山病院 理学療法科
  • 松田 涼
    一般社団法人 北海道リハビリテーション専門職協会 医療法人脳神経研究センター新さっぽろ脳神経外科病院リハビリテーション科
  • 谷津 圭祐
    一般社団法人 北海道リハビリテーション専門職協会 イムス札幌訪問看護ステーション リハビリテーション科
  • 渡邊 康介
    一般社団法人 北海道リハビリテーション専門職協会 イムス札幌消化器中央総合病院 リハビリテーション科
  • 髙島 理沙
    北海道大学 大学院保健科学研究院
  • 澤村 大輔
    北海道大学 大学院保健科学研究院

抄録

<p>【はじめに,目的】</p><p>高齢者の加齢による心身機能の変化は社会参加の有無や居住地域の特性など様々な要因による影響が指摘されており,その変化は一様ではない。また,通いの場の参加者は主に後期高齢者が占めていることや,平均寿命の延伸に伴い90歳を超える超高齢者の人口も増加していることから,超高齢者の参加者が増加することが予想される。しかしながら,これまでに通いの場における後期高齢者と超高齢者の心身機能の比較について検証した報告は極めて少ない。また,後期高齢者から超高齢者にかけて特に低下していく機能,能力を明らかにすることは,地域で通いの場での活動展開および健康寿命の延伸において重要な情報になると考える。そこで,本研究では札幌市の通いの場に参加する後期高齢者と超高齢者の心身機能を比較,検討することを目的とした。</p><p>【方法】</p><p>札幌市が実施する事業にて後期高齢者の質問票,握力,5m最大歩行時間,TUG,5回立ち座りテストを測定した。後期高齢者群と超高齢者群の群間比較は,Mann - WhitneyのU検定,対応のないt 検定を用いた。カテゴリー変数である後期高齢者の質問票15項目は,カイ二乗検定を用い有意水準は5%とした。</p><p>【結果】</p><p>対象は令和4年度に札幌市の通いの場に参加していた65歳以上の高齢者1845名 (うち超高齢者48名)から抽出した。超高齢者群48名と性別,要介護度の有無で統制(傾向スコアによる1:1のマッチング)された後期高齢者群48名の計96名のデータを横断的に分析した。身体機能の比較では,超高齢者群では5m最大歩行時間(p<0.001, r=0.44),TUG(p<0.001, r=0.45),5回立ち 座りテスト(p<0.001, r=0.33)が有意に遅い結果となった。後期高齢者の質問票の下位項目の比較では,超高齢者群で運動・転倒の歩行速度変化(NO.7: p<0.001)の項目で,「はい」の回答が有意に多かった。</p><p>【考察】</p><p>加齢に伴い,心身機能全般が低下することが指摘されている。しかしながら,本研究における後期高齢者と超高齢者の比較では握力や健康状態,食習慣,口腔・認知機能には差が見られなかったが,立ち座り・歩行能力では有意な低下が認められた。健康寿命の延伸に向けて,後期高齢期から立ち座り・歩行能力の加齢変化に着目したモニタリングをしていく重要性を示すものである。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>ヘルシンキ宣言に基づき倫理的配慮を行った。取得したデータ は連結不可能匿名化されており,データの利用については事業実施時に対象者より書面にて同意を得ている。また本発表については事業主体である市介護保険課の了承を得て実施している。</p>

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