生活習慣病保有者におけるオンライン完結型生活習慣改善支援プログラムの効果と運動動画サービスとの関連

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抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 生活習慣病保有者において、オンライン完結型生活習慣改善支援プログラムが着目されている。また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、外出自粛等による活動量低下が懸念されている、動画サービスによる運動支援が近年注目されている。本研究は、生活習慣病保有者を対象としたオンライン完結型生活習慣改善支援プログラムにおいて、運動動画サービスの導入を追加した効果を検証し、視聴状況との関連を検討することを目的とした。 </p><p>【方法】</p><p> PREVENT社が提供する6ヶ月間のスマートフォンアプリによるオンライン完結型生活習慣改善支援プログラムに参加した者のうち、2020年11月~2021年7月に自社制作の運動動画を視聴した者を対象とした。プログラムを完遂できなかった者は除外した。対象者にはウェアラブル端末(Fitbit Inspire)等を用いて歩数、中等強度活動時間等をアプリに記録してもらった上で、看護師、管理栄養士、理学療法士等の専門職が、2週間に1回の電話面談やチャットにて個別で疾病管理の支援を行った。運動動画サービスは有酸素運動や筋力トレーニングに関する動画を制作し、運動指導の一助として対象者に紹介した。統計解析は、プログラム前後の変化量をウィルコクソンの符号付き順位検定にて、動画の視聴状況とプログラム介入前後の変化量の関連を Spearmanの順位相関係数を用いて検討した。変化量の測定値は BMI、血圧、平均歩数、中等強度活動時間、HbA1c、LDLコレステロール値、 HDLコレステロール値、中性脂肪値、L/H比であり、動画の視聴状況は、視聴回数、合計視聴時間、視聴日数であった。 </p><p>【結果】</p><p> 対象者は297名(平均年齢:55.64±6.56歳)であった。介入前後で BMI、収縮期血圧、平均歩数、中等強度活動時間、HbA1c、LDLコレステロール値、HDLコレステロール値、中性脂肪値はそれぞれ有意な改善を認めた。変化量と視聴状況との関連は視聴日数と拡張期血圧(ρ=-0.11)、視聴日数とL/H比(ρ=-0.12)が弱い相関を認め、その他の変化量では有意な相関を認めなかった。 </p><p>【考察】</p><p> 生活習慣病保有者に対するオンライン完結型生活習慣改善支援プログラムにおいて、介入前後で有意な変化量を認めたものの、追加の運動動画サービスの視聴状況と変化量に有意な相関はほぼ認められなかった。その理由として、動画視聴は対象者の任意であったことや対象者特性に応じた動画の紹介をしていなかったことが要因として考えられた。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p> 本研究は、ヘルシンキ宣言に基づき実施され、参加者はプログラム開始時に、プログラム上で収集したデータを今後の研究に使用する可能性があることを明記したプライバシーポリシーに同意した。また、本研究は甲南女子大学研究倫理委員会の承認を得て実施した。</p>

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