通所型サービスCにおける面談主体の自立支援が身体機能やQOLに与える効果:予備的研究

DOI
  • 宇野 隼人
    医療法人社団誠和会長谷川病院 リハビリテーション部
  • 安井 一馬
    医療法人社団誠和会長谷川病院 リハビリテーション部
  • 長澤 康弘
    医療法人社団誠和会長谷川病院 リハビリテーション部

抄録

<p>【はじめに,目的】</p><p>我が国の要支援者への自立支援として,全 国の自治体で数多くの地域支援事業が展開されている.その中でも短期集中的な自立支援によって,身体機能や心理・活動面の改善を目的とした,通所型サービスCが注目されている (以下,通所C).千葉県A市において,令和4年度より面談主体の自立支援プログラムを取り入れた通所Cをモデル的に開始した.しかし,通所Cにおける面談主体の自立支援による効果を明らかとした報告は少なく,今後地域で実践していくために効果検証する必要があると考える.本研究ではA市における通所Cのデータを使用し,面談主体の自立支援が利用者の身体機能,心理や活動面,QOLに与える効果について検討した. </p><p>【方法】</p><p>A市より業務委託された当院とB病院の2施設で通所C を行い,要支援者計11名を対象者とした.支援は週1回12週,自立支援プログラムとして理学療法士による個人面談を約20分,その他に運動機能向上プログラム約40分実施した.初回,支援終了時 (12週),フォローアップ時 (24週)の3地点で測定を行った.測定項目として,基本属性に性別,年齢,BMIとし,身体機能に握力,5m歩行速度,Timed Up & Goテスト (以下,T UG),30秒立ち上がり回数 (以下,CS-30)とした.心理・活動面では,うつ状態にGDS-15,活動能力に老研式活動能力指標,主体性に社会的自立支援アウトカム尺度を用いた.QOLは EQ-5D-5Lを使用した.統計分析では,3地点における比較としてフリードマン検定を行い,多重比較としてボンフェローニ法を使用した.さらに,中断者2名を含めたIntent-to-treat解析を用いた.有意水準は5%未満とした. </p><p>【結果】</p><p>対象者の平均年齢は76.08±4.80歳,BMIは24.16± 3.08kg/m2であり,対象者のうち支援継続者9名,継続率は 81.8%であった.身体機能では,初回と比較して12週にCS-30 (p=0.02)に改善が見られた.24週では,身体機能項目において有意な改善は見られなかった.その他に,EQ-5D-5Lが初回と比較して12週 (p<0.01)と24週 (p=0.02)のそれぞれに有意な改善を示した. </p><p>【結論】</p><p>通所Cにおける面談主体の自立支援は,下肢筋力向上の短期効果に加え,QOLの維持・向上において短期・長期的に効果がある可能性がある.今後,身体機能や活動・心理面への改善を目的とした通所Cを実践するためには,地域と連携した自立支援方法の模索が必要かもしれない. </p><p>【倫理的配慮】</p><p>長谷川病院倫理審査委員会による承認 (課題番号:202301)のもと実施した.</p>

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