住み慣れた地域における社会参加はIADLの自立と社会孤立の改善に有効である

DOI
  • 袴田 真幸
    医療法人社団永生会永生クリニック リハビリテーション科
  • 安藤 達也
    医療法人社団永生会永生クリニック リハビリテーション科
  • 三宅 英司
    昭和大学 保健医療学部リハビリテーション学科理学療法学専攻

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>我々は、「 リエイブルメント (再自立)」 、「 セルフマネジメント」 、「 プロダクティブ・ エイジング (高齢者の社会参加)」 を 目標に、生活のコーチングを中心とした通所型短期集中予防サービスC (以下通所C)を実施している。通所C終了時の身体機能や運動習慣、社会参加の変化に関する報告は散見されるが、通所C終了後の状態は明らかになっていない。そこで本研究は通所C終了3ヶ月後のIADL、QOL、社会的役割について明らかに することを目的とした。</p><p>【方法】</p><p>対象は、2021年度と2022年度に当通所Cを終了した36人 (年 齢:80.9±6.6歳、男性:17人、女性:19人)とした。評価は、質問紙評価 (Geriatric depression scale 、老研式活動能力指標、 EQ-5D、幸福度、社会的自立支援アウトカム尺度)を終了3ヶ月後に実施した。統計学的検討は、終了時の社会参加の有無で群別してMann-Whitneyの検定を行った。有意水準は5%未満と した。</p><p>【結果】</p><p>社会参加群は20人 (男性:6人、女性14人)、不参加群は16人 (男性:11人、女性5人)であった。老研式活動能力指数は参加群 11.0点 (9.5-13.0)、不参加群9.5点 (7.8-10.0)で、参加群が有意に高得点であった (p=0.029)。老研式活動能力指標の下位項目 (参加群、不参加群)は、手段的自立5.0点 (5.0-6.0)、4.5点 (3.8-5.3)、知的能動性3.0点(2.5-4.0)、3.0点(1.8-3.3)、社会的 役割3.0点(2.0-3.5)、2.0点(1.0-2.0)であった。その他の項目は参加群と不参加群で有意差を認めなかった。</p><p>【考察】</p><p>通所C終了3ヶ月後に老研式活動能力指標に有意差を認め、特に手段的自立と社会的役割の項目で参加群が高得点であった。この理由について社会参加を継続することで日常的に公共交通機関を利用したり、金銭を使用したりし手段的自立を押し上げると考えた。社会参加を継続することで、社会的役割の再獲得、創出を促し社会との関わりを強固にし、社会的役割を押し上げると可能性が示唆された。本研究から、住み慣れた地域における社会参加はIADLの自立と社会孤立の改善に有効であると考えた。</p><p>【倫理的配慮】</p><p>研究の実施にあたり,個人情報の取り扱いには十分に配慮し,研究参加への同意についてはオプトアウトを用いた.また,本研究は医療法人社団永生会倫理委員会の承諾を得て行った. (承認番号:E-2022-13-1).</p>

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