covid-19発症後、廃用症候群となった一症例 ~当院回復期リハビリテーション病棟におけるチームアプローチ~

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抄録

<p>【はじめに】</p><p> 廃用症候群の入院高齢患者は、低栄養やサルコペニアを多く認め、対象者にリハビリテーション (以下リハ)栄養の考え方で運動栄養を管理する事が推奨されている。今回covid-19発症後、廃用症候群になり胃瘻造設された患者を担当する機会を得た。チームアプローチで運動栄養を管理し歩行自立に至った経過を報告する。 </p><p>【症例紹介】</p><p> <年齢性別>80代男性<診断名>廃用症候群<現病歴> covid-19発症し重篤化。徐々に回復し39病日リハ開始、73病日胃瘻造設、109病日当院転院1人で歩きたい </p><p>【経過】</p><p> ≪初期評価 (116病日)≫体重47.2kg、BMI19.4kg/㎡、握力 16.8kg、MNA-SF3点、SPPB0点、歩行不可。食事は経管。理解表出良好。hope意欲高い。 治療方針として、理学・作業療法で運動耐用能を評価、低負荷 で運動介入。病棟生活では看護師、介護士へ介助方法を伝達、患者の身体機能改善に合わせて介助量調整し運動耐用能を高めた。リハ担当間では、朝昼食後に理学・作業療法を行い、負荷量分配を行い、言語聴覚士は、経口摂取練習を行い、必要な栄養を管理栄養士へ相談、主治医指示の変更調整を行った。また、リハ担当と病棟職員で連携をはかり、介入時の様子や疲労感を共有し、当日負荷量を調整した。 歩行能力は、144病日後、歩行器30m軽介助 (1.0歩/秒)。 159病日後、歩行器で食堂誘導開始 (昼食のみ30m×2回)。 169病日後、歩行器50m監視 (1.39歩/秒)、1本杖10m監視、歩行器で毎食食堂誘導開始 (30m×6回)と向上。 ≪最終評価 (182病日)≫体重48.8kg、BMI20.1/㎡、握力 23.3kg、MNA-SF12点、SPPB7点、移動は歩行器屋内自立 (1.69歩/秒)、1本杖監視となり、身体機能、歩行、低栄養、サルコペニア改善傾向。 </p><p>【考察】</p><p> Wallは、廃用症候群は運動栄養管理にて廃用性筋萎縮を軽減できると述べている。患者は理解表出良好、hope意欲高く、アドヒアランスを高められた。最終評価で体重、握力、SPPB、 MNA-SFが向上し、1人で歩行可能になった。その理由として、 ①運動栄養面の治療方針に、患者と短期目標を考え、チームアプローチで運動耐用能改善を行い、②摂食嚥下練習にて、食間にカロリー、蛋白質、糖質を摂取し、筋蛋白合成促進、グリコーゲン貯蔵量を増やす取り組みを行った事で、筋力持久力が増加し、リハ効果が高まったと考える。運動栄養を管理し、運動耐用能と栄養状態が改善した結果、歩行自立に繋がったと考える。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は、ヘルシンキ宣言に基づき、対象者に書面と口頭にて研究目的と内容を説明し同意を得た。また、当院倫理委員会の承認を得た。</p>

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