当通所リハビリは在宅生活の延長に寄与できているのか-4年間の経過を後ろ向き調査-

DOI
  • 加藤 友希
    介護老人保健施設 シルバーケア敬愛 リハビリテーション部
  • 瀧澤 快至
    介護老人保健施設 シルバーケア敬愛 リハビリテーション部
  • 江連 亜弥
    介護老人保健施設 シルバーケア敬愛 リハビリテーション部

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 通所リハビリ (以下、デイケア)の役割のひとつとして、在宅生活を延長することが挙げられる。しかし、デイケア利用者の利用期間などの調査は散見される程度であり、症例数も少ない。当デイケアでは、3ヶ月に1回の頻度で多職種によるリハビリ会議を開催しており、心身機能の変化を記録している。また、在宅生活を延長するための取り組みとして、特に心身機能の低下を認める利用者に対し、療法士による居宅訪問の実施や送迎手段・入浴方法の再検討、家族・ケアマネジャーとの連携等を行なっている。 今回の目的は、2019年4月~2023年4月までの4年間の利用情 報から、①リハビリ会議における心身機能の変化、②利用期間、 ③要介護度を求め、当デイケアは利用者の在宅生活の延長に寄与しているのかを調査することである。 </p><p>【方法】</p><p> 1,対象 2019年4月から2023年4月までに当デイケアを利用した593名を対象とした。</p><p> 2,方法 リハビリ会議時の心身機能の変化を総合的に判断し、維持・低下・低下を維持・さらに低下の4段階に分類したものから、割合を求めた。また、総利用者および低下群の利用期間、要介護度を求め、当デイケアが在宅生活の延長に寄与しているのか分析した。 </p><p>【結果】</p><p> 2019年4月では維持が82.26%、低下が17.74%であり、2023年4月では維持が72.53%、低下が27.47%であった。利用期間は総利用者 (N=593名、内調査不可の27名を除く)では3.38± 2.98年であり、低下群 (N=207名、内調査不可の2名を除く)では4.6±2.89年であった。要介護度は総利用者では要支援1が 1.85%、要支援2が3.2%、要介護1が27.32%、要介護2が 27.15%、要介護3が20.07%、要介護4が15.85%、要介護5が 3.88%であり、低下群でも類似した結果であった。 </p><p>【考察】</p><p> デイケア利用による心身機能変化 (Barthel Index:以下、BI)は、利用開始から24月以上では23%で低下、利用期間は平均2.92 年、要介護度は要介護1が36.3%、要介護2が31%、要介護3が 17.3%、要介護4が9.3%、要介護5が3.9%との報告がある。本調査では、心身機能の低下率は報告よりも高い結果であったことは、当デイケアではBIには変化が出ない程度の能力低下を拾い上げている為であると考える。要介護度は要介護3、4の割合が高い中で、利用期間は総利用者および低下群ともに報告よりも長い結果であった。このことから、当デイケアは、在宅生活の延長に寄与できていると考える。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は、当法人臨床研究委員による承認を得ている。</p>

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