高齢心臓血管外科患者の術前骨格筋機能と退院後1年間の再入院との関連

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抄録

<p>【目的】</p><p> 本研究の目的は、高齢心臓血管外科患者において、術前の筋力および骨格筋量が退院後1年間の再入院の発生に及ぼす影響を検討することとした。 </p><p>【方法】</p><p> 研究デザインは後ろ向き観察研究とした。対象は、開胸または 開腹手術を施行した高齢心臓血管外科患者とした。除外基準は、調査項目に欠損のある者、自立歩行が困難な者、他院へ転院した者、退院後1年間の再入院を追跡できなかった者とした。メ インアウトカムは、退院後1年間の再入院とした。術前の筋力および骨格筋量の指標は、それぞれ握力と骨格筋量指数 (SMI)を使用した。統計解析は、術前の筋力と骨格筋量が退院後1年間の再入院の発生に及ぼす影響を検討するため、従属変数を退院後1年間の再入院の有無としたCox比例ハザード回帰分析 (強制投入法)を実施した。独立変数には、筋力と骨格筋量の良好/不良の組み合わせで4カテゴリ化した変数、調整変数には Euro Score Ⅱと手術時間を投入した解析を実施した。 </p><p>【結果】</p><p> 解析対象者は112名【年齢 74[70-78]歳、男性 72名 (64.3 %)、BMI 23.1[20.5-24.9]kg/m2】であった。メインアウトカムの内訳は、再入院した者が32名 (28.6%)、再入院しなかった者が80名 (71.4%)であった。また再入院の原因として、心血管由来が13名、非心血管由来が19名であった。退院後1年間の再入院の発生率は筋量不良の2群でいずれも高まる傾向を示し、それぞれ40%、42.8%であった。調整済みハザード比は、筋力良好/骨格筋量良好の組み合わせに比較して、筋力良好/筋量不良群で2.28 (95%CI:1.02-5.07、p=0.043)、筋力不良/筋量不良群で2.49 (95%CI:0.65-9.45、p=0.180)であった。 </p><p>【結論】</p><p> 高齢心臓血管外科患者において、術前の骨格筋量が退院後1年間の再入院に影響を及ぼしたものの、術前の筋力においては有意な関連は認めなかった。これらの関連性から、同患者では術前に骨格筋量の評価を実施し、再入院予防に向けて適切な管理を行うことが重要であると考えられた。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は、戸田中央総合病院の倫理委員会の承認を得て実施した (承認番号:0520号)。</p>

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