運動習慣のない女子大学生における不活動時間、中高強度の身体活動量は骨格筋量の低下と関連 する

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抄録

<p>【はじめに】</p><p>近年、成人女性の身体活動量の低下が問題視されている。身体活動量の低下は、肥満、2型糖尿病などといった生活習慣病に発展し、中高齢者だけでなく若年者層においても解決すべき喫緊の課題となっている。若年期(20歳代)の運動習慣や身体活動量は、中高齢期の筋力低下に影響を及ぼすことが多数報告されている。しかし、若年者の運動習慣や身体活動量の違いが、骨格筋量に影響を及ぼすのかは未だ不明な点が多い。本研究では、超音波断層法による筋厚に着目し、女子大学生の身体活動量と下肢筋厚ならびに筋力との関係を明らかにすることを目的とした。 </p><p>【方法】</p><p>健常な女子大学生18名 (平均年齢20.7±0.8歳、BMI 23.2±3.3kg/m2)を対象とした。身体活動量は、単軸加速度計を用いて計測した。対象者には加速度計を16日間装着してもらい、脱着日を除く14日間の身体活動量 (歩数、総エネルギー消費量、強度別活動時間) を計測した。筋厚は床用超音波装置を用いて、大腿部中央 (大転子~膝関節裂隙間の中間位)の前面部と外側部を計測した。下肢の筋力として右脚の等尺性最大膝伸展筋力 (MVC)を測定した。本研究では、対象者全体ならびに運動習慣の有無それぞれにおける身体活動量と下肢筋厚、筋力との関係について検証した。 </p><p>【結果】</p><p>対象者全体では、総エネルギー消費量と大腿直筋、中間広筋、大腿直筋と中間広筋の合わせた筋厚との間に有意な正の相関を認めた (p<0.05)。運動習慣のある群とない群における筋厚、筋力の差異について検討した結果、下腿長あたりのMVC、大腿直筋の筋厚は両群間で有意な差がみられた (p<0.05)。運動習慣あり群となし群のそれぞれにおいて、身体活動量と筋厚、筋力との関係について検討したところ、運動習慣のある群は、いずれの強度別活動時間と筋厚との間に有意な相関は見られなかったが、運動習慣のない群では歩数ならびに中高強度活動時間と外側広筋の筋厚に有意な正の相関を認め、不活動時間と外側広筋の筋厚、外側広筋と中間広筋の合わせた筋厚に有意な負の相関を認めた (p<0.05)。 </p><p>【考察】</p><p>本研究の結果より、運動習慣のない女子大学生では長時間の不活動時間や中高強度の身体活動量の低下が下肢筋厚に影響している可能性が示唆された。若年成人女性の骨格筋量を維持するため、不活動時間の軽減と中高強度の身体活動量を増加させるような生活指導が必要だと考えられる。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は帝京平成大学倫理委員会が作成する資料を参考にインフォームドコンセントを行い、研究に先立っ て、本研究の概要、目的、研究に伴う危険性、研究から得られる有効について説明し書面において同意を得た。なお、本研究は、帝京平成大学倫理委員会の承認を得て実施した (承認番号: 2022-022-1)。</p>

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