腰背部への皮膚刺激ツール貼付による指床間距離への効果検討

DOI
  • 本田 伊織
    社会医療法人社団 令和あらかわ病院 リハビリテーション科
  • 小川 寛晃
    虹ヶ浜整形外科クリニック リハビリテーション科
  • 久持 勇登
    医療法人社団生和会 介護老人保険施設なごやか熊毛 リハビリテーション科
  • 川端 勇士
    JA山口厚生連 周東総合病院 リハビリテーション科

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 指床間距離 (以下FFD)は胸腰椎やハムストリングスに対する柔軟性の指標として知られており、FFDが低下することで腰痛など様々な問題が生じると報告されている。今回はマイクロコーンの貼付のみ簡易的に介入が行えるソマセプトミオ (以下SM)を用いて柔軟性への効果検討、また若年者と高齢者による比較検討を目的に実施した。 </p><p>【方法】</p><p> 対象は若年者10名、高齢者10名。脳卒中既往、視覚障害や膝関節伸展制限-10°以上制限がある者は除外。介入前にFFD測定。第4腰椎棘突起 (以下L4)・左右上後腸骨棘 (以下:PSIS)に SMを貼付。貼付後に再度FFDを測定。FFD測定時に前額面・矢状面から床面へのリーチ動作最大時を静止画として撮影し、画像評価を行った。画像評価で前額面はFFD、矢状面は足関節底屈角度・L4~S2前傾角度 (L4とS2にランドマークを貼付、2点を結ぶ線と床との垂直線が交わる角度)、臀部踵間距離 (踵に対しての殿部の前後の移動距離)を測定。画像解析ソフトImageJを用いて数値を検出。統計処理は介入前後のFFDを対応のある t検定を使用して比較。上記の各項目とFFDをPersonの積率相関係数を用いて検討した。 </p><p>【結果】</p><p> 若年者はSM貼付前後でFFD2.5±2.4㎝ (p=0.008)・L4~S2前 6.8±3.4° (p<0.001)と優位に大きくなった。足関節底屈角度 (p=0.569)・臀部踵間距離 (p=0.347)は有意差が認められなかった。高齢者もFFD3.6±3.7㎝ (p=0.014)・L4~S2前傾角度5.5±6.1° (p=0.019)は優位に数値が大きくなり、足関節底屈角度 (p=0.303)・臀部踵間距離 (p=0.647)は有意差が認められなかった。SM貼付後に足関節底屈角度が維持・低下した群 (以下背屈群)と増加した群 (以下底屈群)が半数ずつ存在し、FFD改善度は若年者の背屈群3.3±3.1㎝、底屈群1.7± 1.1㎝、高齢者は背屈群4.4±5.2㎝、底屈群2.7±1.6㎝だった。若年者・高齢者ともにFFDと各項目に強い相関関係は確認されなかった。 </p><p>【考察】</p><p> FFD・L4~S2前傾角度の有意差はL4・PSISへのSM貼付により胸腰筋膜等の柔軟性が改善したためと考える。FFDにて背屈群は足関節戦略、底屈群は股関節戦略を用いていると考え、移動距離が違う2群のバランス戦略が用いられたことが強い相関が確認されなかった要因と考える。 </p><p>【結論】</p><p> SMのL4・PSIS貼付にてFFDの改善が認められたため、今後は腰痛患者への効果検討や、柔軟性改善による動作戦略の変化等の研究に繋げたい。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究はヘルシンキ宣言に基づき実施。研究対象者には本研究内容を説明し、口頭および書面にて同意を得て実施した。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ