「ぶら体」の青年男子への効果検討

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  • 長澤 良介
    医療法人財団 東京勤労者医療会 代々木病院 通所リハビリテーション

抄録

<p>【はじめに・目的】</p><p> ウォーミングアップ(以下:W-UP)とは「運動によるケガの防止や、主運動を行うための身体の準備、その運動に対する能力を最大に発揮できる状態を作ること」と言われている。サッカーではW-UPでブラジル体操という体操を行なうことが多く、「ブラ体」と呼ぶチームが多い。サッカー選手の障害予防には「 FIFA11+」があり、ACL (前十字靱帯)損傷に限らず、障害全体を約1/3に減少可能であるとされている。15分間の神経筋系 W-UPプログラムは、青年期女子サッカー選手のACL損傷の発生率を有意に減少させることも分かっている。高齢者への W-UPは、主に転倒・認知症予防の運動前に、筋力や柔軟性を上げ、怪我の予防効果があると言われている。今回は「第6回日本予防理学療法学会学術大会」で発表した「ぶら体」を青年男子用に変化させ実践し効果を検討した。 </p><p>【方法】</p><p> 対象は、早稲田大学本庄高等学院サッカー部14名 (平均身長 171.3cm、平均体重59.7kg)と他高校サッカー部14名 (平均身 長170.8cm、平均体重70.9kg)の計28名。早稲田大学本庄高等学院サッカー部をトレーニング(以下:TR)群とし、通常のTRに加え、W-UP時に「ぶら体」を2021年3月より開始。他高校サッカー部をコントロール(以下:CR)群とし、通常のTRを継続。コロナ禍ということもあり評価日にバラつきはあるが、TR群は、 2021年4月24日・2022年3月29日、CR群は、2021年3月18日 ・2022年6月14日に測定・評価を実施し、「ぶら体」の効果を検討。測定内容は、10m走・30m走、Tテスト、カウンタームーブメントジャンプ(以下:CMJ)、Yo-Yoテスト、リアクションストレングスインデックス(以下:RSI)とした。 統計学的解析には、対応のあるT検定を用いTR前後の差を検定。分析はMicrosoft Excel 2019分析ツールを使用、有意水準を5 %未満とした。 </p><p>【結果】</p><p> TR群は、30m走は4.7秒から4.51秒(P=0.04)、RSIは1.6から 2.1(P=0.005)、双方とも向上し、有意差が認められた。Tテスト、CMJ、Yo-YoテストはTR・CR群とも有意差をもって向上している。 </p><p>【考察】</p><p> 「ぶら対」の効果として、30m走・RSIへの効果が示唆された。身体を固めて力が無くなる「力無」ではなく、力まずに身体を動かせるようになったためと考えられた。 </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は、ヘルシンキ宣言に基づき、協力者の方々に研究内容を説明し、同意を得て、十分な注意を払い実施した。</p>

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