軽症脳梗塞患者の退院6か月後の座位行動は脳卒中の再発に影響する

DOI
  • 芦澤 遼太
    総合病院 聖隷三方原病院 リハビリテーション部
  • 本田 浩也
    聖隷クリストファー大学大学院 リハビリテーション科学研究科
  • 武 昂樹
    和合せいれいの里 訪問看護ステーション住吉
  • 吉澤 康平
    聖隷クリストファー大学大学院 リハビリテーション科学研究科
  • 亀山 裕斗
    聖隷クリストファー大学大学院 リハビリテーション科学研究科
  • 山下 翔太
    聖隷クリストファー大学大学院 リハビリテーション科学研究科
  • 若林 稔幸
    聖隷クリストファー大学大学院 リハビリテーション科学研究科
  • 吉本 好延
    聖隷クリストファー大学大学院 リハビリテーション科学研究科

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 軽症脳梗塞患者の再発予防として座位行動(Sedentary Behavior :SB)を減少する必要がある.我々は軽症脳梗塞患者に対して SBの減少を促すアプローチのランダム化比較試験を行い,SBの減少を促すアプローチの有効性を示唆した.しかし我々の研究では,SBが減少することで脳卒中の再発が予防できるか否かは明らかにしていない.先行研究ではSBが多くなることで脳卒中発症リスクが高くなることが示されているが,脳梗塞後のSBが脳卒中の再発に影響するかについては明らかではない.本研究の目的は軽症脳梗塞患者の退院後のSBが脳卒中再発に影響するか否かを明らかにすることであった. </p><p>【方法】</p><p> 研究デザインは症例対照研究であった.本研究は過去の介入試験に参加し,研究を完遂したNational Institute of Health Stroke Scale(NIHSS) 6点未満の軽症脳梗塞患者73名を対象とした.本研究のアウトカムは,脳卒中による再発の有無であり,過去の研究終了後(2020年6月~2021年12月)から,2022年12月31日までの再発の有無を後方視的に調査した.本研究の曝露因子は,急性期病院退院6か月後のSBと身体活動量であった.統計解析は,まず再発群と非再発群の2群間を比較し,次に従属変数を脳卒中再発の有無(再発無,0;再発有,1),独立変数を SB,軽強度活動(Light intensity physical activity:LPA),中高強度活動,歩数として単変量および多変量Cox比例ハザード分析を行った.また,カットオフ値を算出した上で,Kaplan-Meier曲線を描出し,Log-Rank検定を用いて2群間の再発率を比較した. </p><p>【結果】</p><p> 7名が脳卒中を再発し(再発率9.5%),全対象者の平均追跡期間は792.4日であった.再発群は非再発群と比較してSBが多く(再発群:69.0%,非再発群:53.1%,p=0.005),LPAが少ない結果であった.単変量および多変量Cox比例ハザード分析において SBとLPAは再発に影響する因子として抽出された(多変量;SB :ハザード比:1.096,95%信頼区間:1.024-1.172,p値 =0.008).SBのカットオフ値は64.4%であり,SB64.4%未満群は64.4%以上群に比べ有意に脳卒中の再発率が低かった (p< 0.001). </p><p>【考察】</p><p> SBが脳卒中の再発因子である動脈硬化や血圧などに影響することから本結果は妥当であると考えられる. </p><p>【結論】</p><p> 軽症脳梗塞患者の退院6か月後のSBが脳卒中の再発に影響することが示され,再発予防の目標値として,SBを約64%まで減少する必要性が示唆された. </p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は,ヘルシンキ宣言に基づいて実施され,聖隷三方原病院と聖隷クリストファー大学の倫理委員会の承認 を得た(22-59).オプトアウトにて対象者の同意を得た.過去の 我々の研究についても聖隷三方原病院と聖隷クリストファー大学の倫理委員会の承認を得て(19-46,19057),University hospital Medical Information Network(UMIN)に事前に登録した(登録番号:UMIN000031461).</p>

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