身体活動量とヘルスリテラシーおよび運動セルフエフィカシーの関連性―回復期病棟入院患者を対象とした横断研究―

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抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>入院患者の身体活動促進は、日常生活動作の向上や長期的な健 康効果に重要である。また近年、ヘルスリテラシーが様々な健康効果の重要な決定要因として示されてきているが、身体活動量とヘルスリテラシーの関連については明らかではない。さらに身体活動促進には、運動継続に関する自己効力感である運動セルフエフィカシー (運動SE)が重要な要因として考えられるが、身体活動量と運動SEの関連についても明らかではない。 そこで本研究では回復期病棟入院患者の身体活動量とヘルスリテラシーおよび運動SEの関連について検討することを目的とした。</p><p>【方法】</p><p>対象は当院回復期病棟から退院した患者とした。方法は、退院時に年齢、性別、Functional Ambulation Categories (FAC)、身体活動量、ヘルスリテラシー、運動SEを評価した。身体活動量は、活動量計を用いて強度別活動時間 (座位行動:1.5METs以下、軽強度活動:1.6~2.9METs、中高強度活動:3.0METs以上)を測定した。ヘルスリテラシーは、Health Literacy Scale-14 (HLS-14)を用いて包括的ヘルスリテラシーを評価した。運動SEは、運動SE尺度を用いて定期的な運動実施に対する自己 効力感を評価した。 統計解析は、身体活動量とヘルスリテラシーおよび運動SEの関連について検討するために、各強度別活動時間を従属変数、年齢、性別、FAC、HLS-14、運動SE尺度を独立変数とした強制 投入法による重回帰分析を行った。有意水準は5%に設定した。</p><p>【結果】</p><p>解析対象者は49名であり、平均年齢78.8歳、女性33名であった。重回帰分析の結果、座位行動が従属変数の場合、運動SE尺度 (β=-0.312、p=0.032)と性別 (β=-0.464、p=0.001)が有意な関連要因として抽出された (R2=0.337)。また軽強度活動が従属変数の場合も、運動SE尺度 (β=0.326、p=0.022)と性別 ( β=0.513、p=<0.001)が有意な関連要因として抽出された (R2=0.368)。中高強度活動が従属変数の場合は、年齢 (β =-0.494、p=0.006)が有意な関連要因として抽出された (R2=0.304)。HLS-14は各強度別活動時間の有意な関連要因として抽出されなかった。</p><p>【考察】</p><p>回復期病棟入院患者の身体活動量とヘルスリテラシーおよび運動SEの関連について検討した。身体活動量とヘルスリテラシーの詳細な関連性についての検討は不十分であったが、運動SEに着目した介入の検討により身体活動は促進される可能性が考えられた。</p><p>【倫理的配慮】</p><p>本研究は千里中央病院倫理審査委員会の承認を得て実施した (承認番号:2022-12)。また、ヘルシンキ宣言に従って、対象者には研究の趣旨について説明を行い、同意を得た。</p>

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