体組成の測定は従業員の生活習慣の見直しのきっかけになる

DOI
  • 鈴木 翔
    整体&トレーニング Salud(サルー) トレーニング部 福島産業保健総合支援センター 産業保健相談員
  • 鈴木 翼
    合同会社つばさ産業医オフィス 産業医

抄録

<p>【目的】</p><p> 福島県のメタボリックシンドローム該当者は18.4%であり全国 値の15.9%と比べて高い水準である。メタボリックシンドロー ムは心血管系疾患の重大な危険因子であり、食事や運動などの生活習慣の見直しが必要となる。今回、訪問先の企業にて体組成の測定を行った。体組成の測定結果が健康診断結果と比較し、生活を見直すきっかけになるのかアンケート調査を行ったので報告する </p><p>【方法】</p><p> 2022年に訪問した4企業のべ32名の体組成を測定した。体組 成計はInBody470を用いて測定を行い、そのデータを即時フィードパックした。その後、アンケートへの記載をしてもらった。 </p><p>【体組成データとアンケート結果】</p><p> 対象人32名 (うち女性19名)のうち、メタボリックシンドロームに該当する腹囲周径であったのは25.0%であった。その中で高血圧、高血糖、脂質異常の治療中であったのは62.5%であった。アンケート結果では、「直近の健康診断の結果を見て生活習慣を見直そうと思った」のは18.8%であったのに対し「体組成の結果を見て生活習慣を見直そうと思った」のは40.6%であった。「体組成計の結果を見て改善したい点」として多かったのは「脂肪を落としたい」が39.1%であった。「健康診断結果と体組成測定結果ではどちらが理解しやすいか」には健康診断が6.3%に対し体組成測定結果が75.0%であった。 </p><p>【考察】</p><p> 脂肪組織への脂肪の蓄積の評価には体脂肪量の測定とともに体脂肪分布の評価が重要である。さらに、生体電気インピーダンス (BIA)法により算出される体脂肪量は、二重エネルギーX線吸収 (DXA)法による測定値とよい相関があることは肥満症診療ガイドラインにおいてグレードAレベルⅠとされている。「脂肪 」といった一般的にイメージしやすい指標を数値化することで、生活習慣の見直しへの意識が高まったと考えられる。体組成の 測定は簡便に行えることが最大のメリットである。体重や腹囲が減少することで、高血糖、脂質異常、血圧高値も改善されることから、生活習慣の指導とともに体組成を測定することは対象者のモチベーションの向上にもつながると考えられる。</p>

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