科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究と、がん予防研究に資する医療ビッグデータの紹介

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抄録

<p>科学的根拠に基づくがんリスク評価及び予防ガイドライン提言 に関する研究は、科学的根拠に基づいた、日本人に適したがん予防法の提言と実践のため、約20年にわたって国立がん研究センターで推進されてきた。研究組織 (以下、がん予防研究班)は、国内の多くの疫学・予防研究者で構成され、現在、日本人におけるがんのリスク要因の評価および要因負荷 (寄与度)の推計、未知の要因について新たなエビデンスを創出する研究基盤の運営、そして日本人に適したがん予防法の提言と普及、を目標として活動しており、まさにがん予防のための疫学研究の最前線にある。 日本人におけるがんのリスク要因の評価では、生活習慣、 既往歴、女性関連要因、社会心理学的要因などと、全部位がんと各部位がん罹患・死亡との関連について、日本人を対象とした既存研究のシステマティック・レビューによって班員がリスク評価を判定している。がん予防法の提言はこれらのリスク評価で確実、またはほぼ確実にリスク/予防要因であると判定されたものを中心にまとめられており、また、最新の状態を保つよう、リスク評価の更新と提言の改訂が行われている。さらに、評価のベースとなるエビデンスが不足しているものについては日本人を含む大規模コホート研究のコンソーシアムの研究基盤を活用し、新たなエビデンスを創出している。本発表の前半では、特にこれらの活動内容について紹介する。 また後半では、がん予防研究に資する情報として、近年欠かせないものとなった電子化医療データを活用した研究についても取り上げる。演者のこれまでの経験を中心に、DPCデータにおける疾病定義の妥当性研究、がんの標準治療実施有無の調査、JMDCデータの解析経験などについて紹介する。さらに、医療データの種類別の特性や利活用における注意点、疫学研究における現状や将来性について、管理栄養士とデータベースエンジニアからの視点も交えて論じたい。</p><p>【倫理的配慮】</p><p>本発表で紹介する研究は「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に基づき実施され、各研究実施機関または国立がん研究センターの倫理審査委員会の承認を得て実施されています。</p>

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