過激な集団的運動へ至る陰謀論とその相互行為的特徴

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書誌事項

タイトル別名
  • Characteristics of Conspiracy Theories Leading to Extreme Collective Movements and Interactions
  • A Case Study on Conspiracy Theory Blogs
  • アブダクションに着目した陰謀論ブログのケーススタディ

抄録

インターネットの普及によりポスト真実の問題は身近で甚大なものとなっている。例えば,米国ではオンラインメディアを通じてQ アノンと呼ばれる陰謀論に人々が動員され,米国連邦議会議事堂を占拠する集団的運動に至り,これと同様の事例が日本でも生じている。このような中,近年心理学においても陰謀論的信念が一つのテーマとなってきている。しかしながら,これまでの心理学研究では陰謀論を信じるということが具体的にどのような現象であるのか検討してこなかった。本研究では,陰謀論に基づく社会運動の発端となったブログのテキストを対象とし,ヴァーチャルエスノグラフィーの手法を採用して,アブダクションという観点から,陰謀論の特徴と集団的運動における相互行為的特徴による陰謀論的信念を考察した。その結果,本研究が対象とした陰謀論には,陰謀組織についての言説だけではなく,陰謀組織に対抗する存在についての言説が含まれ,それが集団的運動の契機となっていたことが明らかとなった。そして,その集団的運動では,陰謀組織やそれに対抗する存在に働きかけるための媒介物が製作されていた。さらに,報道される出来事や運動への批判などの様々な事象が媒介物によって陰謀組織へ働きかけた結果として解釈され,それによる陰謀への確信が新たな集団的運動へと方向づけていた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390581148795053824
  • DOI
    10.24525/jaqp.23.1_228
  • ISSN
    24357065
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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