学術的文章へのコメントのコミュニケーションに関する考察

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タイトル別名
  • コメントをする表現主体の「前提」を中心に

抄録

<p>学術的文章に対するコメントや検討に関する研究は、実践や文章をより良くすることを目指し、様々な観点から議論がなされてきた。しかし管見の限り、学術的文章に対するコメントのコミュニケーションの経験には、あまり焦点が当てられていない。コミュニケーションをどのように捉えたのかは、相手に伝えないことも多く、表面的なやりとりからは捉え難い部分がある。また、コミュニケーションが良い経験や「気になる経験」に繋がる場合、その要因はコミュニケーションが行われる場で生じるとは限らない部分がある。</p><p>以上を踏まえ本発表では、蒲谷他(2019)の「前提」を参照として、学術的文章に対するコメントのコミュニケーションの経験を捉えた。具体的には、コメントをする表現主体としての経験(対面・非対面を含む)に注目し、良い経験と「気になる経験」の要因に見られる「前提」を分析した。分析では、学術的文章に対するコメントのコミュニケーションの経験がある7名(日本語母語話者4名/日本語非母語話者3名)の半構造化インタビューでの語りを、佐藤(2008)を援用してコーディングした。</p><p>分析結果、コメントをする表現主体の良い経験と「気になる経験」の要因に見られた「前提」のカテゴリーが提示された。まず、良い経験と「気になる経験」に共通して見られたカテゴリーとして、《コメントのコミュニケーション自体に対する認識や捉え方》が提示された。次に、個別の経験に見られたカテゴリーとして、「気になる経験」では、《コメントに対する相手の反応》が見られ、良い経験では、《コメントをする主体自身への良さ》が見られた。分析結果を通して、学術的文章に対するコメントのコミュニケーションの経験の判断や評価に「前提」が深く関わっており、学術的文章に対するコメントのコミュニケーションを見ていく際、「前提」に目を向ける必要性があることや、その重要性が示唆された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390581148795524992
  • DOI
    10.32252/tcg.21.0_103
  • ISSN
    24344680
    13488481
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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