要介護認定者の5 年生存率上昇後の人口構造に関する確率シミュレーション・モデルを用いた検討

  • 鈴木 真
    佛教大学 保健医療技術学部 作業療法学科
  • 本多 伸行
    関西福祉科学大学 保健医療学部 リハビリテーション学科 作業療法学専攻
  • 木村 大介
    名古屋女子大学 医療科学部 作業療法学科

書誌事項

タイトル別名
  • Indicators of Healthy Life Expectancy Extension and 5‐year Survival Rate Increase for People Certified for Long‐Term Care Need
  • -A Stochastic Simulation Model-

抄録

<p>要旨 </p><p>本研究では,介護保険分野における要介護認定者の健康寿命の延伸という観点から5 年生存率を上昇させるための要介護度の推移について,確率シミュレーション・モデルを用いて検討した.方法は,まず先行研究を参考に仮想の1 万人分の5 年間の要介護度の確率的に作成した基準群とするデータセットを作成した.これに対し,各年の死亡率を調整し5 年後の生存率が基準群よりも1%上昇するデータセットを同様の方法で作成し,これを処理群とした.以上の仮想のデータセットの作成を,不確実性による外れ値によってデータに不安定性が生ずる危険性を排除するためにそれぞれ100 回行い,その記述統計の結果を用いて基準群と処理群を比較検討した.その結果,各要介護度において5 年生存率を1%向上させるためには5 年後に各要介護度における人口を最大で約2.1%増加させる必要性が示唆された.高齢になっても安全かつ安心して生活できる社会保障制度の構築に寄与できるように,今後は年齢や性別などの予後変数を用いた予測モデルを開発し,実証検証を含めた外的妥当性について評価する必要があると考える.外的妥当性が担保されれば,具体的な介護サービスが要介護者に与える影響やその費用対効果など様々な研究に応用することができ,より良い高齢者の生活の獲得や社会保障費の抑制にも繋げることができると考える.</p>

収録刊行物

参考文献 (6)*注記

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