ロンドン学派音声学の三つの系譜

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書誌事項

タイトル別名
  • The Genealogy of London School of Phonetics
  • Academic Lineage of Daniel Jones
  • 創始者Daniel Jonesとその学問的系譜

抄録

本論文の目的は,Donald Stokes『Pasteurの4象限』(Pasteur’s Quadrant (1997)) の理論的枠組みを用いて,ロンドン学派の音声学研究の学問的系譜とその先進性を分析することである。分析手法として,Stokes (1997) に従い,二つの弁別素性 [±基礎原理の追求] [±実用・実践を目的] を用いて,ロンドン学派の音声学研究者を第Ⅰ象限から第Ⅳ象限まで(第Ⅲ象限は該当する研究がありそうにないため) 3つの象限に分類した。それにより,ロンドン学派の音声学研究者の中から,第Ⅰ象限(実用志向型基礎研究=Pasteurの象限)にDaniel Jonesを位置づけ,第Ⅱ象限(純粋基礎研究=Bohrの象限)にPeter Ladefogedを位置づけ,第Ⅳ象限(純粋応用研究=Edisonの象限)にHarold Palmerを位置づけた。最後に,Daniel Jonesの上記3領域へのバランスの取れた設備の充実と人材の確保により,ロンドン学派の音声学研究が,他に例を見ない,理論・実践・英語教育への応用という,研究への統合的アプローチを行ってきたことが判明した。斯して,ロンドン学派の音声学研究が,これまで100年以上音声学研究の最先端の研究機関として音声学の中心であり続けた理由を明らかにすることができた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390581148797156352
  • DOI
    10.57512/jpepsj.5.0_1
  • ISSN
    24355003
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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