九州のブナ林と下層植生の現状

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  • 上森 教慈
    九州大学大学院生物資源環境科学府環境農学専攻森林環境科学教育コース
  • 小山田 美森
    九州大学農学部附属演習林
  • 市橋 隆自
    九州大学大学院農学研究院環境農学部門森林環境科学講座
  • 菱 拓雄
    九州大学大学院農学研究院環境農学部門森林環境科学講座
  • 片山 歩美
    九州大学大学院農学研究院環境農学部門森林環境科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Current status of Fagus crenata dominated forests and their understory vegetation in Kyushu
  • キュウシュウ ノ ブナリン ト カソウショクセイ ノ ゲンジョウ

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抄録

九州は日本におけるブナの分布西限および南限地域であり,山岳地帯に太平洋型のブナ林が分布する。近年,九州ではシカによる過食害が森林における下層植生の衰退を引き起こしており,森林環境や森林生態系の劣化が問題となっている。しかし,九州のブナ林の調査はシカ食害が目立ち始める2000 年代初頭を最後にほとんど行われていない。本研究では,九州のブナ林の現状を把握することを目的に,九州各地の7 地点において植生調査を,加えて5 つの場所において目視による植生記録を行った。各地点での植生調査として, ブナ1 個体を中心とした半径5m のプロットを5 つ設定し,胸高断面積,胸高断面積に占めるブナ割合,立木密度,ササの高さ,ササ稈密度の測定を行った。調査の結果,古祖母山,向坂山,三方岳ではササが消失していることが確認され,ササが残存していたサイトでもササ稈密度に差がみられた。九州のブナ林におけるシカ食害の影響は地域によって大きく異なっていることが明らかになった。近年激変する森林環境の変化を追うためにも,下層植生を含めた植生調査とその記録を行うことは重要である。

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