奈良盆地南縁の沖積扇状地の表層地質層序および地形面区分 : 御所市及び橿原市所在の考古遺跡発掘調査成果に基づく基礎的検討

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  • Geological Substrate and Geomorphic Surface Relationships for Alluvial Fans in the Southern Rim of the Nara Basin Using the Accomplishments of the Excavation Evidences of Archeological Sites in Gose-shi and Kashihara-shi, Japan

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抄録

奈良盆地南縁の葛城川流域に分布する沖積扇状地上に立地する考古遺跡において,新たな自動車道建設に先だって実施された発掘調査では,その扇状地を縦断して調査トレンチが設定された。筆者はその堆積層の層序に力点を置いた露頭記載と放射性炭素および土器の年代試料を採取した。そして調査セクションでの個々の埋没地形面を繋いで,調査地域全体の3Dブロックダイアグラムを作成した。他方,空中写真を実体視して,地形面区分を行い,沖積扇状地面を地形的に上位からⅠ~Ⅴ面に区分した。以上から次の結論を得た。Ⅰ面形成期:弥生時代前期の約2600~2300年前(2σの暦年代較正値,以下同様)Ⅱ面形成期:弥生時代中期~古墳時代の約2300~1300年,Ⅲ面形成期:縄文時代中期前半~縄文時代晩期中葉にあたる約5600~2800年前,Ⅳ面とⅤ面の形成期:中世以降の現氾濫原。Ⅰ面離水時期:弥生時代中期~後期の約2300~1800年前,Ⅱ面離水時期:古代以降の約1300年前以降,Ⅲ面離水時期:縄文時代晩期の約3200~2400年前である。以上の結果から,Ⅲ面扇頂部上には,弥生時代から古墳時代にあたる扇状地ローブが載っていることが明らかになった。Ⅰ~Ⅲ面にあたる扇状地形成は,本地域の古気候および古水文環境変動の影響,他方,中世以降のⅣ面とⅤ面については,人為的な山地の植生破壊と流路固定により形成されたものと推測している。

特集:自然地理学の新たな地平

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