摂関院政期における疾病(障害)表現の基礎的考察 : 四肢の疾病・盲・皮膚疾患を中心として

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タイトル別名
  • A Fundamental Study of the Representation of Disease (Disability) from the 10th to the 12th Century: Focusing on diseases of the extremities, blindness, and skin diseases

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抄録

本稿では、摂関院政期にみえる身体的に重度な疾病(障害)や皮膚疾患と関わる表現の歴史的位置づけについて検討し、障害史の視点から当該期が疾病(障害)認識の一画期であることを示す。その際、10世紀成立の医書である『医心方』や古辞書の『倭名類聚抄』の表現と比較しながら、随筆・物語・古記録や仏教説話集などの記述を歴史的に位置付けることを試みる。第一章では、四肢の疾病(障害)の表現について検討し、『医心方』や『倭名類聚抄』においては多様な表現が確認される一方で、疾病(障害)と関わる表現として「かたは」が用いられるようになることや、当該期の身体観の変化と関わり、「五体不具穢」という認識とそれへの対応方法が成立することに着目する。第二章では、目盲等の表現についての検討を行い、主に古記録から一般的な目盲者に対する認識及び、三条天皇の眼病の記事を考察する。つづいて仏教説話集の表現の検討から、因果応報や法華経信仰との関わりを指摘し、合わせて説話の配列からも社会的位置づけの検討を試みる。第三章では、皮膚疾患の表現について検討し、12世紀における癩病の位置づけとその歴史的背景について、主に平安京周辺の癩者を隔離した場の問題と光明皇后の湯浴み説話から考察する。以上の考察を通じて、摂関院政期は、疾病(障害)観・身体観が変化する時期であるとともに、疾病(障害)者と健常者とを社会的に区別する認識が形成される一画期であることを示したい。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390581378932529280
  • NII書誌ID
    AA12891195
  • DOI
    10.15017/7172663
  • HANDLE
    2324/7172663
  • ISSN
    24353078
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • IRDB
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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