香りつき製品による香害に対する薬剤師の役割:モニター調査からの考察

DOI
  • 櫻井 浩子
    東京薬科大学薬学部生命・医療倫理学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • The Role of Pharmacists in Addressing Fragrance Harm Caused by Fragrance Products: Insights from a Monitoring Survey

抄録

今日、柔軟仕上げ剤の利用が生活に定着する一方で、2008年以降柔軟仕上げ剤のマイクロカプセル製法による被害が報告されるようになった。本研究では、柔軟仕上げ剤など香りつき製品による被害の状況と体調の変化などについてwebアンケートを行い、結果を踏まえ環境衛生の観点から香害に対する薬剤師の役割を考察した。インターネット調査会社に登録している日本人男女を対象とし、有効回答は348人(有効回答率:94.6%)であった。香りつき製品による体調不良が「ある」と回答した人は21.8%であり、その具体的な症状では「吐き気」、「頭痛」、「くしゃみ・鼻水」が挙げられた。症状の原因と思われる製品として、「柔軟仕上げ剤」が44.7%と最も高かった。被害後は「人混みを避けるようになった」が26.3%であった。香りつき製品による被害をなくすための対策として「香りつき製品の使用についてルールを決める」が挙げられた。しかし、香りつき製品による健康被害や「香害」という言葉が社会に周知されていないため症状への理解を得られず、個人の嗜好の問題と誤解されることが危惧された。こうした状況に対し、薬剤師には環境衛生の観点から相談に応じること、企業や関連団体と連携し地域住民に対し香りのマナーや適正な使用、香害について啓蒙普及していく必要性が示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390581389981232896
  • DOI
    10.24783/appliedtherapeutics.19.0_18
  • ISSN
    24329185
    18844278
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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