日本人の正中弓状靭帯圧迫症候群の検出率~223名の超音波スクリーニング検査からの考察~

書誌事項

タイトル別名
  • Detection Rate of Median Arcuate Ligament Syndrome in Japanese Population: Insights from Ultrasound Screening of 223 Individuals

抄録

<p>目的:腹部超音波スクリーニング検査時に腹腔動脈(celiac artery:以下,CA)の観察を行い,日本人の正中弓状靭帯圧迫症候群(Median Arcuate Ligament Syndrome:以下,MALS)の検出率を明らかにすること.対象と方法:2022年1月から2023年2月の間に,当院で1名の検査技師が施行した腹部超音波検査532名のうち,検査目的がMALSの疑い,健診目的,日本人以外を除いた223名を対象とした.下記の方法でMALSのスクリーニング検査を行った.(1)心窩部縦走査,安静呼気時におけるCAの走行方向と血管径を確認する.頭側へのCA軸の顕著な変位または血管径の狭小化が認められた場合,MALSの可能性を考慮し,CAの詳細な観察を行う.(2)CAの狭窄・乱流の有無,狭窄部の吸気時・呼気時の血管径・収縮期最大血流速度(peak systolic velocity:以下,PSV)を計測する.(3)呼吸によるCA軸の変化・狭窄・乱流を認め,乱流部のPSVが200cm/s以上,もしくは吸気時と呼気時のPSVに50cm/s以上の差を認める場合,MALS疑いと判定する.結果と考察:223名中11名(4.9%)にMALSが疑われた.11名中7名に腹部造影CT検査が追加され,7例ともMALSと診断された(3.1%).腹部症状の強い4名(1.3%)に手術が行われ, 全例に症状の改善が得られた.CAの詳細観察に必要な時間は6.8±1.2分であった.結論:本検討においてMALSの検出率は3.1%と高率であった.MALSは腹痛や内臓動脈瘤の原因となるが,手術により症状の改善が期待できる.超音波検査によるMALSの診断精度は高く, MALSの可能性も考慮し,CAの詳細な観察を行うべきである.</p>

収録刊行物

  • 超音波医学

    超音波医学 advpub (0), 2024

    公益社団法人 日本超音波医学会

参考文献 (6)*注記

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