近代二字漢語における同語異表記の実態と変化

DOI
  • 間淵 洋子
    明治大学大学院生・日本学術振興会特別研究員DC

書誌事項

タイトル別名
  • Diachronic Variation in Orthography of Two-Character Sino-Japanese Words in Modern Japanese
  • A Corpus-based Study
  • 形態論情報付きコーパスを用いて

抄録

近代における漢語表記の多様性と,現代にかけての表記の淘汰・統一の様相を明らかにすることを目的として,形態論情報付き近代語・現代語コーパスを用い,漢語の異表記の実態調査・分析を行った.近現代両用の約2,000語について,異表記の数や個々の表記の使用率等を調査し,以下3点を明らかにした.1)一語が有する表記数は,近代より現代で少ない.2)現代で消失・衰退した表記が,近代では高頻度で使用されていた事例が多く見られる.これは,近代において一般的だった表記が衰退し淘汰されたことや,語の標準的な表記が変化・交替したことを表している.3)表記の淘汰や交替は,近代で既に生じている語とそうでない語がある.近代に生じた表記の統一化は,近代学校制度の確立や活版印刷による出版文化の興隆などを背景とした,言語使用の実用性・合理性重視が起因していると考える.一方,昭和以降に生じたと思われる表記の淘汰・交替は,当用漢字等の国語政策の影響が大きいものと推測される.

収録刊行物

  • 計量国語学

    計量国語学 30 (5), 257-274, 2016-06-20

    計量国語学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390581468909735808
  • DOI
    10.24701/mathling.30.5_257
  • ISSN
    24330302
    04534611
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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