BNT162b2ワクチン接種後心筋炎の経過を心臓MRI検査で追跡しえた1例

DOI
  • 吉田 千晃
    兵庫県立はりま姫路総合医療センター 循環器内科
  • 谷口 泰代
    兵庫県立はりま姫路総合医療センター 循環器内科
  • 高谷 具史
    兵庫県立はりま姫路総合医療センター 循環器内科
  • 川合 宏哉
    兵庫県立はりま姫路総合医療センター 循環器内科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Post-BNT162b2vaccination Myocarditis Followed by Cardiac MRI

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抄録

<p> 症例は15歳男性.入院3日前にファイザー社製のCOVID-19 mRNAワクチン(BNT162b2)を接種した.同日から39℃の熱発が出現し,翌日から胸部圧迫感が持続するため,救急搬送となった.以前の検診で心電図異常(心室内伝導障害)の指摘はあるが,経過観察となっていた.心疾患の家族歴はない.来院時意識レベルは清明,バイタルサインは保たれ,心雑音は聴取されなかった.心エコー図検査では有意所見は認めなかったが,血液検査で心筋逸脱酵素の上昇を認めた.急性心筋炎の疑いで行った心臓MRI(CMR)検査では軽度のびまん性壁運動低下があり,T2強調画像で下壁に限局した高信号があり,同部位に心外膜側から心筋内に向かう遅延造影像がみられた.T1とT2マッピングでは側壁から下壁にかけて炎症を主とする心筋障害が示唆された.入院翌日には胸部圧迫感は改善し,第6病日に退院した.3カ月後のCMR検査では心筋障害を示唆する所見がほぼ消失していた.BNT162b2接種後心筋炎は稀な合併症で,接種後2日以内の若年男性に多く発症すると報告がある.軽微な心筋炎では壁運動低下がみられない症例も多く,症状と心電図変化や心筋逸脱酵素の上昇から診断することが多い.CMR検査は発症早期から炎症などの心筋障害を視覚的に診断できる有用な手段である.CMR検査で診断経過を追えたBNT162b2接種後心筋炎を経験したので報告する.</p>

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 55 (4), 446-451, 2023-04-15

    公益財団法人 日本心臓財団

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