エナメル質酸蝕モデルに対するユニバーサルアドヒーシブシステムの接着性評価
書誌事項
- タイトル別名
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- Influence of Acidic Erosion on Enamel Bond Strength of Universal Adhesive
抄録
<p> 目的:クエン酸を用いて表層脱灰されたエナメル質に対するユニバーサルアドヒーシブの接着性およびその接着耐久性について検討した.</p><p> 材料と方法:供試したユニバーサルアドヒーシブはAll-Bond Universal(AB),Adhese Universal(AU)およびScotchbond Universal Adhesive(SB)の3製品である.被着歯面の脱灰条件としては,ウシ歯エナメル質面に1.23%クエン酸溶液を用いて,1分間作用させた後に水洗と乾燥させる操作を5回繰り返し,人工唾液に1分間保管した群(直後群)および同様の処理を1日に2回,7日間行った群(7日群)の2条件とした.各脱灰条件に従って処理した後,リン酸エッチングの有無によって,セルフエッチモード(セルフエッチ群)およびエッチアンドリンスモード(エッチアンドリンス群)の2条件を設定した.これら被着エナメル質面に,アドヒーシブを製造者指示条件で塗布,光照射してコンポジットレジンを接着させた.これらの接着試片は,24時間保管(24時間群)あるいは24時間保管後にサーマルサイクル(TC)を10,000回あるいは30,000回負荷した後,クロスヘッドスピード毎分1.0mmの条件で剪断接着強さを測定した.</p><p> 成績:クエン酸による脱灰エナメル質へのユニバーサルアドヒーシブの接着性は,コントロールと比較して直後群においては,いずれの製品においても接着強さに有意差は認められなかった.一方,7日群においては,コントロールと比較してSBエッチアンドリンス群を除くすべての条件で,直後群と比較してABおよびSBのセルフエッチ群ならびにAUエッチアンドリンス群においてその接着強さは有意に高い値を示した.接着試験後の破壊形式は,コントロールでは界面破壊が大勢を占め,直後群および7日群においても界面破壊が多く観察されたものの,エナメル質の凝集破壊が散見された.TCを10,000回および30,000回負荷した条件においては,すべての製品のセルフエッチ群およびエッチアンドリンス群で,接着強さに有意差は認められなかった.脱灰条件間では,その接着強さは製品によって異なるものであった.接着試験後の破壊形式は,コントロールと比較して10,000回および30,000回ともにAUで界面破壊が増加する傾向を示したが,ABおよびSBにおいてはほとんど変化は認められなかった.</p><p> 結論:クエン酸によるウシ歯脱灰エナメル質へのユニバーサルアドヒーシブの接着性は,製品によって異なるものの,リン酸エッチングの併用は有効であることが示唆された.また,30,000回までのTCによっても安定した接着耐久性を示した.</p>
収録刊行物
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- 日本歯科保存学雑誌
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日本歯科保存学雑誌 67 (2), 99-108, 2024-04-30
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390581533760833152
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- ISSN
- 21880808
- 03872343
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可