「聖なる堆積」

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書誌事項

タイトル別名
  • "The Sacred Accumulation"
  • Correlations of Things in the Case of Xianghua Sect in Meizhou City, Guangdong Province, China
  • 中国広東省梅州市の香花派におけるモノとモノの連関

抄録

<p>既存のモノのエージェンシー論は、人間の認知や意図とモノの関係(リアリティの側面)、人間の身体や感覚とモノの関係(アクチュアリティの側面)および人間の認知の曖昧さとモノの関係(モノの半人格論)に分けられている。これらのアプローチは、モノが人間と関連付けられることによって、エージェントとなることを提示している。しかし、モノのエージェンシーは、必ずしも人間との連関から得られるものではなく、特定の人間と遭遇する以前に、モノとモノの連関も同じようにエージェンシーを生み出す可能性があると考えられる。そこで本論は、物質宗教論を手かがりとして、中国広東省梅州市における香花派という地方仏教組織を事例とし、神像にまつわるモノたちのネットワーク(神像が置かれている物理的環境、風水、供物、紙銭、線香、別の神像など)から、神像が他のモノとの接触によってエージェンシーを獲得し、人間の感覚、認知と行動に影響を与えるプロセスを描き出したい。それによって人間に対するモノのエージェンシーは、モノたちの連関によっても生み出されることを明らかにする。本論では、こうした状態のモノを「人間以前のエージェントとしてのモノ」と名付ける。こうしたモノとモノの連関によってモノがエージェンシーを得るプロセスは、民間信仰の既存構造を機械的に複製するものではなく、新しい神を導き入れる創発的な再生産といえる。</p>

収録刊行物

  • 文化人類学

    文化人類学 88 (3), 452-472, 2023-12-31

    日本文化人類学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390581555877967360
  • DOI
    10.14890/jjcanth.88.3_452
  • ISSN
    24240516
    13490648
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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