胎児食道閉鎖にも拘わらず妊娠経過中に羊水量減少をきたし,出生後に21トリソミーと一過性骨髄異常増殖症を診断された一例

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タイトル別名
  • Comprehensive Diagnosis of Fetal Hypoxia in Trisomy 21 Complicated by Transient Abnormal Myelopoiesis and Esophageal Atresia

抄録

<p> 21トリソミー児における一過性骨髄異常増殖症(TAM:transient abnormal myelopoiesis)は新生児期に発症し自然軽快することも多い.一方,胎児期発症のTAMは稀であるが予後不良であり,胎児死亡や新生児死亡に至った報告もみられている.今回,我々は食道閉鎖症に伴う羊水過多のため経過観察中に羊水量の変動による胎盤機能不全の判断に苦慮したが,胎児血流波形異常および胎児心拍陣痛図の変化を認め妊娠終結とし,出生後にTAM,21トリソミーの診断となった症例を経験したので報告する.</p><p> 症例は41歳2回経産婦で,羊水過多を認め食道閉鎖症を疑った.入院後の経腹超音波断層法にて羊水インデックス38cmの羊水過多と臍帯動脈や中大脳動脈血流波形に異常が出現していた.羊水過多による症状のために1回羊水除去を行ったがその後著明な羊水量の増加は認めず,胎児心拍数陣痛図で遅発一過性徐脈と基線細変動減少が出現したため,胎児機能不全の診断で妊娠終結とした.児はTAM,21トリソミーの診断で出生後2日より化学療法を開始し順調に経過した.</p><p> 消化管閉鎖による羊水過多を合併した21トリソミー症例において胎児期にTAMを発症した場合,胎児低酸素を診断することが困難な場合があるが,胎児心拍数陣痛図や胎児血流速度波形なども組み合わせて判断することが有効である可能性が示唆された.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390581566949625216
  • DOI
    10.34456/jjspnm.60.1_116
  • ISSN
    24354996
    1348964X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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