質量分析法により <i>Scedosporium apiospermum</i> を同定し迅速な診断が可能となった原発性皮膚スケドスポリウム症の 1 例

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タイトル別名
  • A Case of Primary Cutaneous Scedosporiosis by <i>Scedosporium apiospermum</i> - the Efficacy of the Rapid Identification by MALDI-TOF MS

抄録

<p>80 歳,男性。ACTH 分泌不全症と LH・FSH 分泌不全症にてヒドロコルチゾンを 20 mg/日内服中であった。3 カ月前に右手背に出現した約 10×10 mm の無痛性の紅色皮下結節を主訴として当科を受診した。初診時に病変穿刺後,外科的に全摘出した。後日,血液寒天培地にて白色の綿毛状コロニー形成を認め,質量分析法,さらに遺伝子解析にて Scedosporium(S.)apiospermum と同定された。同定後,ボリコナゾール(VRCZ)の投与を開始し,速やかに紅斑の消退傾向がみられた。その後,霧視と倦怠感が出現したため,VRCZ 内服を患者が自己判断で中止したところ,再度約 10×10 mm の紅色隆起局面が出現した。減量した VRCZ の再導入を行い,その後は問題なく 6 カ月間継続して病変部は治癒した。今回われわれは質量分析法を用い,免疫不全者に発症した原発性皮膚スケドスポリウム症において,迅速な原因菌の菌種同定と早期治療介入に成功したため,既報の文献 20 例の検討と合わせ,S. apiospermum による皮膚軟部組織感染症の診断・治療についても記述する。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 86 (2), 170-175, 2024-04-01

    日本皮膚科学会西部支部

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390581566949795584
  • DOI
    10.2336/nishinihonhifu.86.170
  • ISSN
    18804047
    03869784
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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