東日本大震災津波災害に伴う健康影響:岩手県における前向きコホート研究の結果から

  • 丹野 高三
    岩手医科大学医学部,衛生学公衆衛生学講座 岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構,臨床研究・疫学研究部門

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タイトル別名
  • ヒガシニホン ダイシンサイ ツナミ サイガイ ニ トモナウ ケンコウ エイキョウ : イワテケン ニ オケル マエムキ コホート ケンキュウ ノ ケッカ カラ

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説明

東日本大震災津波後に岩手県で開始された前向きコホート研究であるRIAS研究と東北メディカル・メガバンク計画地域住民コホート調査の結果から,災害の循環器疾患危険因子と心理社会的因子への影響を報告する.避難所への移転や仮設住宅居住者では震災後5年間の血圧値は減少したものの,体重,メタボリックシンドロームや糖尿病の罹患は増加しており,循環器疾患のハイリスク者であることが示唆された.震災6カ月後の心理的苦痛の割合は日本人一般集団より高かった.震災2年後の調査で心理的苦痛の割合は減少したが,心理的苦痛は就業状態や経済的暮らし向きと関連していた.震災3~5年後の社会的孤立は抑うつや死亡のリスク上昇と関連し,震災6~9年後の調査では社会的孤立の割合が増加した.被災早期からの心理社会的支援の必要性が示唆された.今後も追跡調査を継続し,東日本大震災津波災害に伴う長期健康影響を明らかにしていきたい.

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