腱板断裂に対する大胸筋移行術に上腕骨近位部骨折を起こした1例

抄録

<p>【はじめに】腱板断裂に対する大胸筋腱移行術後の腱板修復状態を直視下に確認した報告はない.上腕骨近位部骨折に対する骨接合術の際に,大胸筋腱移行術後の腱板修復状態を直視下に確認できた1例を経験したので報告する.【症例】4年前,左肩腱板広範囲(肩甲下筋・棘上筋・棘下筋)断裂に対して腱板修復および大胸筋腱移行術を施行した.1年前自宅で転倒,左肩を強打し受傷した.翌日当科を受診し,単純X線像で上腕骨近位部骨折(Neer分類2-part)を認めた.順行性横止め髄内釘を用いて骨接合を施行した.手術時,上方アプローチを用いて腱板へ到達.移行した大胸筋は肉眼的には正常部分の腱板と同様な乳白色組織に覆われていた.術後1年2カ月で術後MRI上腱板連続性を認め,関節可動域(R/L)屈曲140°/110°,外旋70°/60°,内旋L1/L1,JOAスコア87点であった.【結語】大胸筋腱移行術後の腱板修復状態を直視で確認することができた.移行した大胸筋は肉眼的には正常部分の腱板と同様な乳白色組織に覆われていた.</p>

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